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今週、韓国のテレビニュースで「ポクポギ」、日本では「プチプチ」と呼ばれるエアキャップが話題になった。エアキャップは本来、商品が割れないように包むために使うものである。ところが去年から、エアキャップを窓に貼ると断熱効果があるという話が主婦コミュニティを中心に口コミで広がった。この冬は、エアキャップが飛ぶように売れているという。
使い方はとても簡単で、窓ガラスに水をスプレーしてエアキャップを貼るだけである。窓ガラスが冷えて室内にまで寒気が伝わるのを防止でき、室内温度が3度ほど高く保つ効果あるそうだ。結露した水滴が床に落ちるのも防止できる。マンションの廊下にある水道のメーターが凍って破裂するのを防止したり、水道管が凍るのを防止したりするためにも使う。
エアキャップは値段が安く、2000円もあれば4LDKの家中に貼れる。日本ではだいぶ前から、結露した水滴が落ちるのを防止するシートや断熱効果のあるビニールシートがたくさん売られていた。日本の節約の知恵が韓国に広がったのかもしれない。
エアキャップの売り上げ拡大が“けんか”のタネに
ニュースになったのは、エアキャップがあまりにも売れすぎて、宅配業界とエアキャップを販売するインターネットショッピングモールとの間でトラブルが発生したからだった。韓国ではエアキャップを縦1メートル×横20メートル単位で購入する人が多い。家中の窓にエアキャップを貼るためにはこれぐらいの大きさが必要だからだ。インターネットショッピングモールは、巨大なトイレットペーパーのようにエアキャップをぐるぐる巻きにしてビニールに入れて宅配便で届ける。
問題は、エアキャップはとても軽いがサイズが大きく、宅配会社の配送トラックの荷台をすぐ埋め尽くしてしまうことだ。韓国の宅配会社は、大きな家電でない限り、距離に比例して料金を設定している(郵便局はサイズと距離の両方で料金が変わる)。サイズの大きいエアキャップでもサイズの小さい本でもソウル市内であれば配送料金は約250円と変わらない。
宅配会社の立場からすると、一便のトラックで通常なら100個分の配送料がもらえるところ、エアキャップばかりだと30~40個分しかトラックに載せられない。当然のことながら利益が減る。そのためエアキャップの配送を断る宅配会社や、特別料金を請求する宅配会社が現われたのだ。
インターネットショッピングモール側は「エアキャップの注文は多い日で1日1万件もある。配送を断るなんて困る」と反発している。韓国の最大インターネットショッピングモール「Gマーケット」によると、11月1~25日の間、エアキャップの販売量は前年比2倍近くに増えたという。大型ディスカウントショップ「EMART」でも11月1~25日までエアキャップが前年比3.5倍も売れたという。
ニュースは、宅配会社の事情は分かるが、だからといって突然一方的に配送を断るのは問題だ、と結んでいた。
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趙 章恩2013年12月02日
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