[日本と韓国の交差点] 韓国、爆弾酒飲んでも寿命が長い意外な理由?

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2015年2月27日、SBS(ソウル放送)のラジオ番組で面白いニュースを聞いた。「韓国人は飲酒に喫煙、辛い食べ物を好み、毎日が競争でリストラも多く、ストレスの多い生活を送っている。それにもかかわらず韓国人の寿命は延びている。その理由は『登山』にある」。

 この番組によると、「韓国人は登山が好きで、毎週のように山に登っているから足に筋肉がついて血液の循環がよい。登山を続けると疲れ知らずの健康体になる。生活習慣が良くなくても健康を保てる」。登山はゆっくり、長い距離を上るほど健康に良い影響を与えるので、心臓に無理がないよう登山を続けるのがいいという話だった。

 韓国ではアルコール度数の高い焼酎(19~20度)やウィスキーをビールに混ぜて飲む「爆弾酒」を好んで飲む。焼酎をビールで割るとアルコール度数が下がるので飲みやすくなる。しかしビールよりは度数が高いので速く酔えるからだ。また韓国のビールは味が薄いので、おいしく飲むために混ぜたという説もある。

 日本酒ブームの影響で、酔うために飲むのではなく、料理やお酒をおいしく味わいながら飲む文化が広がっているが、韓国企業の会食では必ずといっていいほど爆弾酒が登場する。食品医薬品安全処の調査では、韓国人のうち爆弾酒を飲んだことがある人は2013年には30%だったが、2014年には55%に増加した。そのうち90%はビールと焼酎を混ぜる「ソメク(韓国語で焼酎とビールの頭文字をとった略称)」を飲んだと答えた。

平均寿命が5年間で約2年伸びた

 「OECD Health Data 2014(2012年時点のデータ)」によると、15歳以上の韓国人の喫煙率は21.6%で、OECD加盟国平均の20.3%より高い。韓国人男性の喫煙率は37.6%でOECD加盟国の中ではギリシャに続いて2位である。15歳以上の人の年間アルコール消費量はOECD加盟国平均が9.0リットル、韓国人は9.1リットルだった。韓国人は激辛の食べ物や脂身の多いカルビなどを頻繁に食べる。体にいいことはあまりしていないようなのだが、平均寿命は着実に伸びている。

 「OECD Health Data 2014」によると、韓国人の平均寿命は81.3歳でOECD加盟国平均の80.2歳より長かった。韓国人の平均寿命は2006年には79.1歳だったが2012年には81.3歳となり、この5年間で約2年伸びた。ちなみに平均寿命が最も長い国は日本で83.2歳だった。過体重・肥満の人が人口に占める割合はOECD加盟国の平均が56.8%なのに対し、韓国は31.8%に過ぎなかった。

 「OECD Health Data 2014」を見ると、「自分は健康だと思う」と答えた人はOECD加盟国の平均が69.4%なのに対し、韓国人は33.3%(日本人は30.0%)だった。自分の健康を気にする人が多く、健康のためなら何でもする人が多いのも韓国人の寿命を長くしたのかもしれない。韓国でもテレビの人気番組のほとんどは「○○を食べると痩せる」「体にいい食べ物特集」「自宅で簡単にできる健康法」などを紹介する情報バラエティーだ。

 韓国人が医師にかかる診察回数は、国民1人当たり年間14.3回でOECD加盟国の平均6.9回より圧倒的に多かった。患者1人当たりの入院日数は16.1日でOECD加盟国平均の8.4日よりずいぶん長い。韓国にも国民健康保険があるので、診察料は平均本人3割負担、街の医院なら1回当たり数百円程度にすぎない。韓国人1人当たりの医療費支出は年間2291ドルでOECD加盟国平均の3484ドルより少なかった。ちょっとでも調子がよくないと思ったらすぐ病院に行くので、生活習慣がよくなくても健康でいられるのかもしれない。

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By 趙 章恩
 日経ビジネス
 2015年3月3
-Original column

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