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韓国金融委員会は7月23日、株式投資型クラウドファンディングを活性化するため、「資本市場と金融投資業法改定案」(略称、クラウドファンディング活性化法案)の施行令立法を予告した(法律を改訂したので、異見がある人は40日以内に連絡してください、という状態になったこと)。これにより2016年1月から、株式投資型クラウドファンディングができるようになる。
株式投資型クラウドファンディングを合法化しようという動きは韓国の国会で2013年から始まっていた。2年越しの議論を経て、やっと実現する。ベンチャー企業に対する投資にはリスクがあり、投資したお金が戻らない可能性も十分ある。クラウドファンディング活性化法案は、投資家保護とベンチャー投資活性化という二兎を追うものであるため、韓国の国会は慎重に検討を続けた。
金融機関から資金を調達することが難しい零細ベンチャー企業にとって、株式投資型クラウドファンディングは重要な資金源になる。韓国金融委員会は、株式投資型クラウドファンディングを活性化することによってベンチャーの起業が増えれば、韓国経済に良い影響を与えるだろうと期待している。
日本では金融庁が金融商品取引法の施行令を改正し、2015年5月から株式投資型クラウドファンディングをできるようにした。個人投資家は1人50万円までベンチャー企業(未上場企業)の(未公開)株式に投資できる。一方、ベンチャー企業は総額1億円未満を条件に幅広い個人から資金を募集できるようになった。韓国では「保守的な日本ですら株式投資型クラウドファンディングが合法なのに、なぜ韓国はだめなのか」とベンチャー企業が反発していた。
不特定多数の投資家から少額ずつ集める
クラウドファンディングとは、ベンチャー企業がインターネット経由で不特定多数の投資家から少額ずつの資金を調達する仕組みである。米国政府は2012年4月にJOBS法(Jumpstart Our Business Startups Act)を制定し、年間売上高10億ドル未満の企業は、クラウドファンディングで年間100万ドルまで資金を集められるようにした。米国のJOBS法の影響を受け、韓国でも2012年からクラウドファンディングに関して政府機関が議論を始めた。
「資本市場と金融投資業法改定案」の内容は、以下の通り。
- 株式投資型クラウドファンディングを仲介する企業は資本金5億ウォン以上であることが必要。加えて、オンライン少額投資仲介業者として登録しなければならない。登録するには金融委員会の審査が必要だ。
- 株式投資型クラウドファンディングの募集や広告はオンライン少額投資仲介業者のホームページ上でしかできない。
- 投資金の受け渡しはオンライン少額投資仲介業者ではなく、銀行・証券会社を利用しないといけない。
- 個人投資家は1会社当たり200万ウォン(約22万円)、年間の総額が500万ウォン(約55万円)までベンチャー企業(未上場)の株(未公開)に投資することができる。専門投資家(一定以上の所得がある個人)の場合は、1会社当たり1000万ウォン(約110万円)、年間の総額が2000万ウォン(約220万円)まで投資できる。
- 個人投資家が購入した株式は、1年間は転売することができない。
- 起業して7年以下のベンチャー企業もしくは新技術開発や文化事業を行うベンチャー企業は、クラウドファンディングで年間7億ウォン(約7700万円)まで投資を募集することができる。投資家の人数に制限はない。
- 金融機関による投資金額に制限はない。
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