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ソウル市中心部の各地で5月17日、セウォル号沈没事故の真相究明と責任者の処罰を求める集会がいくつも行われた。各種市民団体の呼びかけで市民が集まった。政府の最高責任者である朴槿恵大統領の退陣を求める集会を開催する市民団体もあった。この日の集会に参加した総人数について、市民団体は5万人、警察は1万1000人と発表している。
ソウル市庁の周辺では、女子大生が中心となって沈黙集会を開いた。沈黙集会は、セウォル号の乗員が「客室で待機してください、その場で動かないようにしてください」と船内放送をして自分たちだけ逃げたことを受けて、「『その場で動かないように』という指示にはもう従わない、黙っていない」ことを逆説的にアピールすることを狙ったものだ。安心して子供を育てられる国にしてほしいと、子供を連れた母親たちが行進する小さな集会も住宅街で開かれた。
朴大統領は5月16日、セウォル号沈没被害者家族の代表を大統領官邸に招いて政府の事故後の対処について謝罪するとともに、事故の真相を究明すると約束した。朴大統領は面談の場で、「セウォル号事故を契機に、韓国が完全に新しい国に生まれ変わるよう努力している」「このようなことが二度と起きないよう、社会の安全システムを根本から見直す。国家大改造というレベルで社会の基礎から立て直すことが、犠牲者への償いとなる」などと発言した。
それでも市民の声は収まらない。ネット上では政府を批判する声が続いていた。
「どうやって韓国を生まれ変わらせるのかが問題。具体的な方案がない」
「朴大統領は『謝罪します』ですべてが収まると思わないでほしい。真相を暴くのはこれからだ」
「今までの救助活動や捜査状況を見て、大統領と政府機関の言うことは一切信用できない」
セウォル号沈没事故の真相究明を求める集会の頻度が徐々に増え、ついに5月17日の大規模な集会につながった。
警察が集会参加者を逮捕
5月17日、警察は集会に参加した人の一部が車道に出て交通を妨害したとして、100人以上を逮捕し、警察署に連行した。集会に参加した人たちは警察に抗議し、SNSで集会の自由を訴えた。
ネット上では「反政府勢力がセウォル号沈没事故を利用して市民を扇動している。セウォル号事故と関連のない集会を開いている団体は逮捕していい」という意見と「警察は憲法で保障された集会の自由を弾圧している。警察が集会参加者を連行するのは、市民に恐怖を与え、今後集会に参加できないようにするのが目的だ。韓国政府は何が怖くて警察に連行を指示したのか」という意見がぶつかっている。
集会を報じる記事も、見方が割れている。進歩派のキョンヒャン新聞やハンギョレ新聞は「集会を終えて解散しようとする市民を警察が囲んで無理やり連行した」という集会参加者の声を報じた。一方、保守派の朝鮮日報や中央日報などは「不法集会をしたので警察が逮捕した」と報じている。