[日本と韓国の交差点] 韓国の深刻な懸念~2050年には人口が2割減少

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7月11日は世界人口の日(World Population Day)である。1987年7月11日に世界の人口が50億人を突破した。これをきっかけに、世界人口の急速な増加が引き起こす食糧不足問題などに関心を持ってもらうため、国連人口基金(UNFPA)がこの日を制定した。

 韓国でも、この日を「人口の日」と定めている。ただし、その位置づけは国連とは逆だ。出産率の低下と高齢化による将来の人口不足問題に関心をもってもらうため、この日を定めた。全国各地で結婚と出産を奨励するイベントも行う。2013年の人口の日を記念し、あるお坊さんが国務総理賞を受賞した。2005年からお見合いを積極的に開催して、これまでに1200組を結婚させたことを評価した。

 ソウル市はこの日、市役所の前でダドゥンイカードを所持した家族向けのイベントを開催する。このカードは、ソウル市が取り組む出産奨励政策である。子供が2人以上いて、末っ子の年齢が13歳未満の家族だけが持てる。このカードで決済すると、ファミリーレストラン、スターバックス、美容院、映画館、子供用品、ガソリンスタンド、塾、eラーニング、書店、博物館などで5~20%の割引が得られる。テーマパーク入場料には50%割引といった特典がある。バスや地下鉄などの運賃も割引してもらえる。子供の数が多いほど割引率が高くなる。

 同様の特典を持つクレジットカードを、全国の自治体が地元の銀行と提携して発行している。全国共通の特典もある。子供が3人以上の場合、大型自動車取得税免除、電気料金20%割引、銀行で金利優遇、新築マンションを優先的に分譲してもらうこともできる。

2050年までに人口が2割減る

 統計庁のデータを見ると、韓国女性1人の平均出産率は2011年に1.24人(ソウル市1.01人)、2012年に1.30人(ソウル市1.06人)を記録した。OECD加盟国の中でも最も値が低いグループに入っている。それでも出産率1.30は2000年以降で最も高い値である。2005年に1.08人という最低値を記録した後、少し上向いている。

 2012年に出産率が伸びたのは、35歳以上の高齢出産が増えたことが影響している。2012年に出産した女性の年齢を見ると、20代より30代以上の方が多かった。この年の初出産の平均年齢は30.48歳。2011年の30.25歳よりも0.23歳上がった。2012年生まれた新生児の母親の68.0%は30歳以上で、前年比3%ポイント高くなった。2012年、30~44歳女性の出産率(女性1000人当たり出産した子供の数)は前年比で11人ほど伸びた。これに対して20~29歳女性の出産率は逆に1.5人ほど減っている。

 出産率が2.1人を超えないと人口は減少するという。統計庁の人口シミュレーションでは、このままだと現在5000万人超の韓国の人口は2040年には4500万人に減る。同庁は2050年には4000万人にまで減る可能性が高いと見ている。

産児制限が人口減のきっかけ

 韓国の出産率は1970年には4.53人だったものが、1980年には2.63人、1990年には1.60人と急激に減少している。その理由は70年代に始めた産児制限政策にある。韓国が先進国になるためには人口を減らさないといけないとして、政府は子供を3人以上産むなと制限した。当時は「子供が多いと、食べることだけで精いっぱいになり、他の消費ができないので貧乏になる」「国民の数が減れば国民1人当たり所得が高くなる(統計上)」と信じられていた。世界銀行がお金を貸す条件として途上国に産児制限を要求していた、とう事情もあった。

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