.
韓国で、女性人気歌手の新曲が「扇情的」だとして物議をかもした。20歳そこそこの女性KPOPアイドルたちは、水着同然のコスチュームで歌って踊る扇情的な姿を売りにしてきた。「今さら何が扇情的なのか」と思っていたら、今回は「小児を性の対象にしている」との批判だった。
女性向けコミュニティーサイトや、この歌手が曲のモチーフにしたという本を出したトンニョク出版社が、「韓国の歌手IUの新曲『ZEZE』と『23』の歌詞、そしてミュージックビデオの映像が、小児を性の対象にしておりとても不愉快である」と抗議したことから論争が始まった。
童話の主人公ZEZEはセクシー
ZEZEは韓国で最も有名な児童文学本「私のライムオレンジの木」に登場する主人公の少年だ。原著はブラジルの作家José Mauro de Vasconcelosの自伝的小説「Meu Pé de Laranja Lima」。韓国では1978年に韓国語版が出版され300万部以上が売れた名作で、現在もなお売れ続けている。韓国人に「心に残る本は?」と質問すると、大抵の人は「私のライムオレンジの木」と答える。それほど韓国人にとっては特別な本である。
ZEZEが登場する曲の歌詞は「ZEZE、あなたは純粋だけど本当は狡猾ね。子供のように透明に見えるけど汚い。早く木に登って、葉に口づけして、いたずらはだめ、木を痛くしたらだめ、ここで最も若い葉を持って行って、一本しかない花を持って行って、Climb up me」と続く。しかもアルバムのジャケットには、ZEZEとみられる少年が網ストッキングのようなものを履いて、キノコの横に寝そべって片足を上にあげるポーズをとるイラストが描いてある。
IU本人が「ZEZEを性の対象として描く意図は断じてなかった」と謝罪したものの、ファンミーティングの場で「(『ZEZE』の詞を作ったきかっけについて)5歳の少年ZEZEは純粋だけどある面では残忍で矛盾があり、だから魅力的でセクシーだと思った」と話したことから議論に拍車がかかった。ネットユーザーらは、「まだ子供であるZEZEがセクシーだなんて、どういうことだ」と問題にした。
著名な作家や音楽プロデューサー、芸能人らも、賛否それぞれの立場からSNSで議論に参加。「明白に小児を性的対象にしている、これは許せない」「音楽は芸術で表現の自由が認められる、どう解釈するかは聴く人の自由だ」と議論を戦わせた。11月9日には英誌The Guardianがこの議論について報道した(関連記事「K-pop star IU’s song accused of ‘sexualising’ book’s child hero」)。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。