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2012年12月19日に行われる韓国大統領選挙に、どの政党にも属さない無所属候補が出馬し、20~30代から絶大な支持を集めている。これまでの世論調査で有力氏されてきたセヌリ党の朴槿惠(パク・グンヘ)候補を押しのけて支持率1位を奪う勢いだ。
その無所属候補は、安哲秀(アン・チョルス)候補である。「韓国のビル・ゲイツ」と呼ばれており、韓国の大学生が最も尊敬する企業家と言われる。同候補は9月19日に「社会貢献できるならやる」と出馬を宣言した。同日の記者会見は、動画投稿サイトPandoraTVが生中継し22万人が視聴した。記者会見を生中継した午後3時の臨時テレビニュースの視聴率はKBS1 3.6%、MBC 2.9%、SBS 2.3%(TNmS調べ)だった。前日の同じ時間帯の視聴率は1%前後だったので、安候補の注目度がどれほどすごいかがわかる。
安候補は日本支社もある韓国最大のITセキュリティ会社「アンラボ」の創業者だ。韓国一の名門大学であるソウル大学医学部出身の医者でありながら、「人間ではなくパソコンを治す医者になりたい」とアンチウィルスソフトを開発した。
直接対決では安候補が朴候補に勝る
テレビ局のMBCが10月2日、成人1000人を対象に実施した支持率調査では、3候補が次の順で並んだ――朴候補37.0%、安候補26.4%、文候補22.5%。しかし、このうち2人を取り上げた直接対決を見ると、安候補47.7%対朴候補40.8%、文候補44.9%対朴候補44.5%と、安候補の支持率が高い。
他のテレビ局や新聞社の世論調査結果も同様。3人の中では朴候補の支持率が1位だが、2者の直接対決になると、安候補と文候補の支持率の方が上になる。YTNの世論調査(10月2日)では安候補49.1%対朴候補40.7%、文候補46.2%対朴候補42.6%。同じ日に行われた朝鮮日報の調査でも安候補47.4%対朴候補44.7%、文候補46.1%対朴候補46.2%だった。
MBCの調査では、回答者の49%が「安候補と文候補は候補一本化が必要だ」と答えた。マスコミは8月まで、韓国初の女性大統領が誕生すると騒いでいたが、今ではすっかり安候補の特集記事の方が多くなっている。
複数の世論調査に共通する2012年大統領選挙の特徴は、支持する候補が世代別にきれいに分かれることである。20~30代は安候補を支持する人が40%を超える。40代では文候補を支持する人が35%前後で最も多い。50代以上は60%近くが朴候補を支持している。
若者はなぜ安候補を支持するのか
安候補は2011年夏、かつて自分が教授をしていた名門大学KAISTの学生が何人も自殺したというニュースを聞いて、大学生に夢と希望を与えたいと無料講演会を企画。全国27の大学で「青春コンサート」と銘打った講演会を開いた。青春コンサートは、前回のコンサートで集まった寄付金で次のコンサートを開催するリレー方式をとった。希望プランナーというボランティアたちが支えた。青春コンサートに参加した聴衆は既に4万3996人に上る。
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By 趙 章恩
2012年10月10
-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20121009/237816/