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韓国でMERS(中東呼吸器症候群)の感染者が依然として増えている。この影響により、中華圏からの観光客が減少、消費も委縮し景気が落ち込んでいる。干ばつも深刻な状態だ。例年の半分しか降水量がなく、飲み水も足りなくなる可能性が出てきた。企業は円安の影響で輸出が伸び悩んでいる。韓国銀行は6月11日、「円安による韓国企業の輸出減少に加えMERSによる景気沈滞を防ぐため、政策金利を1.75%から1.5%に利下げする」と発表した。
WHO(世界保健機関)調査団は6月13日に記者会見を開き、「韓国でMERSの感染が広がったのは、韓国政府が、感染者がいる病院の名称や感染者の移動経路などの情報を公開しなかったから。このため院内感染を止められず防疫に失敗した」と発表した。
WHO調査団は、韓国独特の医療文化も感染拡大の一因があると断じた。病院の人員が不足しており、入院患者の世話は家族がする必要がある。何人もの家族が付き添いとして病室に出入りしていたことが大量感染につながった。加えて、有名病院をはしごする「医療ショッピング」が当たり前になっていることも挙げた。病院がいつも混雑していることが感染を拡大させたというわけだ。WHO調査団は韓国政府に対し、感染専門家・疫学専門家を養成することと、公衆保健実験室及び陰圧病床に追加投資するよう提案した。
韓国メディアはWHOの発表を受けて、MERS拡散は韓国政府の責任が重いとの批判を繰り返している。韓国政府が効率を優先して保健所や市立病院などの公共医療施設を減らした結果、感染者や感染が疑わしい人を早期に隔離して、検査したり治療したりする指定医療施設が足りなくなった。民間病院も経営を優先するあまり、感染が発生しても病院を閉鎖することなく診療を続けた。こうした対処が他の患者へ感染を拡大させたという批判だ。
中華圏からの観光客が減少
ソウル市内ではマスク姿の人が減り、人出も戻りつつある。ソウル市内の繁華街はニュース映像で見る風景とはずいぶん違う平和な雰囲気となった。しかし、韓国の内需に大きな影響を与える中国・台湾・香港など中華圏からの観光客は減少している。
韓国観光公社の調べによると、MERSを理由に韓国旅行をキャンセルした外国人観光客は6月12日時点で10万人を突破、これを金額に換算すると1800億ウォン(約200億円)に上るという。韓国観光公社は、MERSの影響で韓国ツアーの新規予約も減っていることから、観光客の減少が秋まで続く可能性があると見ている。
朴槿恵大統領は6月14日から予定していた米国訪問とオバマ大統領との首脳会談を延期した。朴大統領は「MERSを、韓国経済を委縮させる要因にしてはならない。MERSの影響で苦しむ観光、宿泊、レジャー産業への支援策を講じる」と発言。6月13~14日はMERS対策本部や感染者を隔離治療している病院を訪問して激励した。
チェ・キョンファン国務総理代行も6月14日、仁川空港や免税店を訪問し、「韓国に入国するだけでMERSに感染するかのような間違った情報が海外で広がっている。(外国人観光客誘致のため)旅行関連業界が広報に力を入れる必要がある」と語った。
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