有名女優の死とネットの匿名性
2008年11月12日, 朝日新聞社
インターネットの匿名・実名の問題は、ネット大国・韓国で大きな議論に発展しています。「国民的女優」と呼ばれた崔真実(チェ・ジンシル)さんが10月、ネットでの書き込みを苦に自殺したと報じられたのがきっかけです。
ある俳優が借金を苦にして自殺した事件が先に起き、貸していたのは崔さんだというデマがネットに書き込まれました。それがネットの中でまたたく間に広がったのです。
事件の特徴の一つは巨大ポータルサイトが主要な舞台になったことです。IT評論家で日韓のネット事情に詳しい趙章恩(チョウ・チャンウン)さんによれば、人口約4900万人の韓国で、1日あたり3千万ページビューの人気サイトが舞台になったため、多くの国民が崔さんへの中傷を目にしたということです。
韓国のネットは実名制といわれます。しかし前述したポータルサイトやニュースサイトに書き込むには、登録は実名でなければならなものの、少なくとも前者への書き込みは匿名のIDで可能です。
事件を受け、韓国の政府・与党からは、実名表記を強化し、明白な中傷の場合は本人の告訴がなくても捜査できる法改正の動きが起きる一方、野党からは表現の自由を脅かすと反対の声が上がりました。(丹治吉順)
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http://www.asahi.com/digital/watch/TKY200811110232.html