欧米が称賛する韓国の新型コロナ対策、普及進む在宅勤務に若者は大満足

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 韓国疾病管理本部中央防疫対策本部の発表によると、2020年3月29日時点で韓国内の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染確診者(韓国では感染を確実に診断されたという意味で確診者という)は9583人、死亡者は152人である。この時点で隔離解除者(完治者)は5033人、PCR検査を受けた人は累計39万4141人に上る。

 韓国では韓国疾病管理本部が毎日記者会見を行い、新型コロナウイルス感染状況と対策を報告するとともに、世界と韓国の新型コロナウイルス感染状況が一目で分かるようなグラフを作成して韓国語や英語、中国語でも提供している。3月13日からは完治して退院または自宅隔離解除となった人の方が新規感染者数よりも多くなり、さらに3月28日からは完治した人が感染によって治療または隔離されている人よりも多くなった。

欧米主要メディアが韓国の防疫を称賛

 韓国は一時期、中国の次に感染者が多かった。ところが、今となっては欧米の主要メディアがこぞって韓国政府の防疫を取り上げ、称賛している。「感染が広がったのは中国からの入国を禁止しなかったせいだ」と政府を批判していた韓国メディアですら、政府の対策を前向きに評価するようになってきた。

 欧米メディアが韓国の防疫に関して注目したのは以下の点である。

  • 民間企業が人工知能(AI)を使ってPCR検査診断試薬を早期に開発し、政府は緊急使用を承認したことで早期に大量検査が可能になった
  • ドライブスルー検査やウオークスルー検査など医療スタッフの感染を防止しながら大量に検査できる方法で感染者を早期発見・早期治療し完治者を増やした
  • 軽症者は病院ではなく生活治療センター(政府や企業の寮を借りて軽症者を隔離し、医療スタッフがケア)に入所させることで医療崩壊を阻止した
  • 感染者の動線を全て公開し、陰性の接触者も14日間自宅隔離させ地域感染を防止した
  • 政府による透明な情報公開で社会的信頼が形成され買い占めが起きていない
  • 都市封鎖や外出制限といった人々の移動を制限していない

 欧米メディアはこれらの施策によって死亡率が他の国に比べかなり低いと韓国の防疫を称賛していた。何といっても韓国は世界でも他に類に見ないほど累計の検査数が多い。通常、民間企業が開発した診断試薬の承認には1年はかかる。だが、韓国では中東呼吸器症候群(MERS)の経験を基に緊急使用承認制度を整備し、疾病管理本部が検討して使用できるようにした。今回は企業の申請から1週間で緊急使用承認された。治療費も「感染症の予防と管理による法律」に基づいて国が負担することになっているので、本人の負担額はない。外国人であっても、検査と治療のいずれも無料である。

 韓国では、初めて新型コロナウイルス感染者が出た2020年1月20日以降、大勢の人が集まるイベントを控えるようになった。コンサートや展示会などは全て中止、図書館やスポーツジム、プールなども無期限休業している。感染者が出始めた当初、一緒に食事をして感染が広がったケースがあったことから、その後は外食をする人が急減し、出前やテークアウトが繁盛した。人が多いところを避けるため買い物も行かず、ネットスーパーで済ませる人が増えたことでオンラインショッピング業界の売り上げは伸びた。



 韓国では2月16日まで累計感染者は30人止まりだった。完治して退院する人もいた。日曜日だった2月16日は、5日連続で新規感染者が1人も出なかったことや、1カ月も外出を控えた“コロナ疲れ”から、買い物や観光に出かける人が急増した。そこに、日本でも詳しく報道されたように大邱(テグ)市にある新興宗教団体の集会で集団感染が発生し、一気に地域感染が広がった。

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