氷点下15度の大寒波! おサイフも地球も守るためにできること

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今年の韓国の冬はとにかく寒い! 天気予報では毎日「今年最高の寒さ」という言葉が繰り返されている。いったいどこまで寒くなれば気が済むんだ~。ベランダの観葉植物がきれいさっぱり凍死してしまうほどの寒さなのだ。

 日に日に寒さは増して、氷点下15度ぐらいは「そんなもんか」って思えるほどにまでなってしまった。この異常な寒さも地球温暖化のせいだというから、環境保全は大事なんだなって実感したものだ。


 それにこの寒さだと暖房で電気代がすごくかかる。オンドル(床暖房)を暖めるにはボイラーが必要で、家庭のボイラーは電気とガス、または電気と石油でないと動かない。これが実に温かいのだが、実にお金がかかるのだ。エアコンの暖房よりは安いというものの、ボイラーをつけたとたんに電気メーターとガスのメーターがびゅんびゅん回り始める。うちは古いマンションのせいか、玄関ドアの前にあるメーターの回る音が妙に大きくて「私は今電気とガスを使いまくっている」と切実な気持ちにさせてくれるのだ。


 もうずいぶん前から「これからはスマートグリッドの時代」なんて宣伝しているけど、本当に早くスマートグリッドと自家発電設備が商用化されてマンションにもついてほしい。電気代もガス代も節約できる。メーターもスマートメーターに替えて、電気代に心臓がドキドキしない暖房をしてみたい。







ソウル市内でもよく見かけるようになった太陽光発電の街灯


韓国では戦略的にチェジュ島をスマートグリッド実証実験団地にしている。「電気を賢く使うとは何か」を体験できる施設がたくさんあり、観光コースにもなっているほど。チェジュの東海岸地域では実証実験として一般家庭にスマートグリッドを導入していて、風力発電や太陽光発電で自家発電し、家のどこでどれぐらいの電気が使われているのか一目で分かる画面がテレビに映し出される。このため、自然と無駄をなくして省エネしているという。どんなにエアコンを使っても電気代が基本料金だけと自慢する住民のインタビューを見て、本当にうらやましかった。発電装置という初期投資は必要だが、残った電力を貯めて家庭から電力会社に売ることも計画しているというから面白い。


 暖房による電力使用も史上最高値となり、大雪によって停電する地域もあった。この寒さに停電は厳しすぎる。しかし問題なのは企業の停電だ。地方にある産業団地では停電によって工場の稼動が中止、1日で数百億ウォンの損害が発生した。鉄鋼、石油、半導体、自動車など大手工場では停電になったら自家発電を稼動してどこから先に電力を供給するかといった非常電力システムを毎日チェックし、ぴりぴり緊張したムードが漂っているという。製鉄工場などでは韓国電力の要請によって、電力使用ピークタイムになると工場の稼動を1時間ほど中断するほどである。もうすぐお正月というのに、寒波が続く限り電力関係者らはゆっくり休んでいられないだろう。







2010年10月に開催されたLow Carbon Green Expo 2010で、既存テレビと省エネLEDテレビの電力消耗を比較展示しているところ


寒波で電気代が家計を圧迫すると、電気代を節約する省エネ家電がおのずと浮上してくる。中身を自動感知して温度設定を変えて電気代を節約する冷蔵庫とか、短時間でご飯が作れる炊飯器などが人気。余熱で料理ができる圧力鍋もよく売れているという。韓国の冬は牛の骨と肉をじっくり煮込んだ白いスープの「コムタン」が定番なのだが、24時間以上煮込まないといけないのでガス代が相当かかる。圧力鍋があればガス代も料理時間も節約できる。

 外でも使える一人用暖房家電も飛ぶように売れたそうで、スマートフォンがカイロになるというアプリも話題を集めた。端末に悪影響を与える、バッテリーの消耗が激しすぎて利用できない、全然温かくならない、視覚的効果だけ、と不評だったけど。


 夏はものすごく暑く、冬はものすごく寒い極端な天気のおかげで、電気のありがたさが身にしみる今日このごろ。電力不足で問題が起こる前に、スマートグリッドで省エネも実現してゆとりある電力確保を実現させたい。


趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2011年1月20日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20110120/1029719/

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