点字が読めるスマートウォッチ登場、MWC2016では韓国のスタートアップに注目 [2016年2月19日]

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今年のMWC2016は、韓国のスタートアップに注目すると面白い発見がありそうだ。

 韓国のキャリアSKテレコムが投資したスタートアップ「DOT」が、点字スマートウォッチをMWC2016(Mobile World Congress)で公開することにした。MWC2016は、2月22日にはスペインで開催される世界最大規模のモバイル展示会である。

 点字スマートウォッチは、SNSやショートメッセージ、メールなど届いたメッセージを点字にして表示する腕時計型端末。SKテレコムとDOTは、「世界初」の点字スマートウォッチと宣伝している。今まで時間を教えてくれる点字時計はあっても、メッセージを点字に変えてくれるスマートウォッチはなかったという。

 点字スマートウォッチには30本のピンが内蔵されていて、このピンが動きテキストメッセージを点字に変える。今までは視覚障碍者のためにSNSのメッセージやメールのテキストを音声で読んでくれる、TTS(Text-to-Speech)が使われていた。

「Dot」の点字スマートウォッチ
韓国のスタートアップ「Dot」が制作した点字スマートウォッチ。30本のピンが動き、点字でメッセージを読んだり電子本を読んだりすることができる

 DOT側の説明によると、視覚障碍者らは「家にいるときはいいが、外でメッセージを確認する場合、他の人にも聞こえてしまうので嫌だ」「いちいち立ち止まって安全な場所を確保してイヤホンを取り出して聴くのが不便」「歩きながらイヤホンでメッセージを聞くのは非常に危険なのでしたくない」という不満を漏らしていたと言う。視覚障碍者がプライバシーを守りながら、電車の中や立ち止まった時にさらっとメッセージを確認できるようにするにはどうしたらいいのか考えた結果、点字スマートウォッチを思いついたのだという。

 点字スマートウォッチには、点字を教育する機能もついている。DOTが調べたところ、世界中で出版された本の内、点字本になっている割合は1%に満たないそうだ。電子本を点字に変えることができれば、点字本がなくても点字で本が読めるので、視覚障碍者には嬉しい機能である。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column

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