第一回GVJコラムコンテスト受賞: 「謙遜しすぎる憂鬱な日本、もっと明るく前向きになるのが国際競争力」

第一回GVJコラムコンテスト受賞者発表

優秀賞 :Cho Chang Eun(arare)

「謙遜しすぎる憂鬱な日本、もっと明るく前向きになるのが国際競争力」


日本では最近韓国の国際競争力を学ぼう、という内容の報道が増えている。日本に住む韓国人として、日本が韓国を高く評価してくれるのはうれしいが、
本当に韓国を学びたいというより、謙遜しすぎて自虐するのが好きなだけなのではないかと思うこともある。日本で誤解されているが、韓国の「ケンチャナヨ」精神は大丈夫大丈夫と責任を逃れる言葉ではない。どんなことにもめげず、元気を出すためのおまじないである。日本も「ケンチャナヨ」でもっと元気に前向きになってほしい。

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冬のソナタをきっかけに日本で巻き起こった「韓流」ブームは、韓国人の日本に対する敵対心を和らげるきっかけとなった。それまでは「日本が好き」だなんて、怖くて言えなかった。韓国を植民地支配して苦しめた日本は、競争相手であり克服すべき相手であって、好きになってはいけないという潜在意識があった。ところが「韓流」ブームのおかげで韓国のドラマや文化に興味を持つ日本人が増えたことで、韓国でも自然と日本文化に対する好感をオープンに表現できるようになった。


それどころか、韓国では「日流」、「NIPPON FEEL」と呼ばれる日本大衆文化が若い世代に広く浸透している。ベストセラーのほとんどが日本の小説で、どんぶりやラーメンといった日本の大衆食がおしゃれな外食として流行っている。日本語の「感じ」を韓国式に発音した「ガンジ」はかっこいいという意味を持つ新造語になった。


昨年末あたりから、日本の新聞や雑誌には韓国は世界市場で競争力を持っている、日本企業が世界家電市場で1位だったのに今では韓国企業にその座を奪われている、という内容の記事が頻繁に掲載されている。日経新聞が「韓国企業が強い理由」という特集を組んだり韓国を学ぼうという社説を書いたり、日経ビジネスに韓国四天王としてサムスンやLGが紹介され、「日本を真似ていた韓国の製造業が今では価格も品質も日本を越えている」という内容の特集が組まれたことも大々的に報道されている。韓国人としては韓国を高く評価してくれてうれしいというより、「何で?」というのが正直な感想だ。


日本は世界経済を動かす先進国であり、経済規模も人口も韓国とは比べにならないほど大きい。韓国企業はいつも日本企業のように優秀な技術を持ちたい、世界で認められたいと追いかけてきた。その過程で「反日」では「克日」という言葉も登場した。


韓国家電製品のほとんどは日本の部品なしでは作れないといわれている。日本が物づくり、職人気質から品質にこだわっている間、韓国はデザインと価格競争力に力を入れただけで、いつ世界市場シェアが逆転するかわからない。日本は組み立てられた製品としては韓国の勢いに押されているかもしれないが、世界電子機器の中核に日本企業がいることは間違いない。


日本では謙遜が美徳で、どんな時でも相手を立ててくれる。しかし、いつもはっきり自己主張し、人に負けるな、リーダーになれと教えられた韓国人の私からみると、日本人の中には「自虐」としか思えないほど謙遜しすぎる人が多い。特にマスコミの報道を見ているとそうだ。日本企業はすごい、日本は世界のためにこんなことをしているという報道より、日本はだめだ、韓国にも負けて中国にも負けて日本はもう危ない、と否定的なニュースばかり目立つ。


日本はアジア唯一の先進国である。アジアのリーダーとして、色んな国が幅広く公正に取引することで「共生」できる市場を作り、地球の課題となっている環境保護問題にもアジア全体で取り組めるよう盛り上げる役になるべきではないだろうか。ところが今の日本は、「もうだめだ」と自分を責めることで責任を回避しているように見えてしょうがない。


韓国の国際競争力はいつだって前向きで、謙遜より向上心が強かったからかもしれない。日本のマスコミには「物が売れない時代」、「このご時世に」という言葉が登場するが、韓国では世界は広く市場の数だけニーズがある、物は売れると前向きに考える。


日本が誤解している韓国語の一つに「ケンチャナヨ(大丈夫です)」がある。


日本では、韓国人はいいかげんで何事も「ケンチャナヨ~」といってけろっとしてしまう、とよく紹介されている。しかし、韓国人にとって「ケンチャナヨ」は、「失敗しても大丈夫。また次のチャンスがある!」という慰めであり、「こんなことでめげるものか。どんなことがあっても立ち直ってみせる」という自分への励ましでもある。これから起こることへの不安をなくしてあきらめないため、希望を持つためのおまじないのような言葉である。「リスクはあるけどきっと大丈夫。だからやってみましょう」という前向きな意味が込められている。


私は日本に来て、一度失敗するともう終わり、失敗は許されないのであえて何もチャレンジしない方がいいという話を何度も聞いた。謙遜が美徳の日本ではあるが、謙遜しすぎると周りはしらける。アジアのリーダーとして、「ケンチャナヨ!」と明るく前向きに、元気出してほしい。


日本は世界市場の中でも指折りの大きな市場である。日本が元気でないと、世界も元気になれない。日本はもうだめだなんてそんな記事ばかり書かないで、日本はこんなにすごい!と盛り上がってほしいものだ。

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