【第十五回】
ペ・ヨンジュン演じる主人公のライバルは?
前回の四神に続いて、ドラマ『太王四神記』の主人公・タムドクに対抗する悪役のご紹介です。悪役といっても「悪」というよりは、タムドクに勝る実力の持ち主で、王の座を競争し合うヨン・ホゲを中心としたキャストです。韓国人なら誰もが知っている国民的俳優と言える俳優が、悪役で脇役というのもすごいですよ。
■ヨン・ホゲ
高句麗の貴族で、知略と勇猛さを備えたタムドクのライバル。子供時代はタムドクを「王子様」と呼び慕っていた。ヨン・ホゲを王様にしようと母親が王を毒殺しようとしたのがタムドクにばれ、母親は自殺。それをタムドクが殺したと誤解してから、彼を憎むようになり、王の座を狙う。キハを愛しタムドクが王になってからは、当時の唐に亡命し、将軍となってタムドクに脅威を与える人物。
□ユン・テヨン(ヨン・ホゲ役)
1974年、10月9日生まれ。父は三星(サムスン)電子の副会長。韓国財界の大物のひとり息子であることから、デビュー当時から何かと話題になりました。2007年2月14日ドラマ『あの緑の草原の上に』で妹役を演じたイム・ユジンと結婚。日本ではネットでよく配信されているドラマ『明朗少女成功記』でおなじみですね。招待客は4000人というものすごい規模の結婚式でした。『太王四神記』の撮影のため新婚旅行はおあずけ状態だそうです。
ユン・テヨンは、アメリカに留学中、どうしても俳優になりたくて帰国。1996年にドラマ『美しい彼女』でデビュー、1999年のドラマ『ワンチョ』で、ドジな「メンバル(裸足)」役で人気を得ました。8年経った今でもユン・テヨン=「メンバル」と記憶している視聴者が多く、新聞にも「メンバル結婚する!」と書いてあったぐらい強烈な印象を残しました。『ワンチョ』では、『太王四神記』のチュムチ役のパク・サンミョンと共演してます。元祖モムチャン(筋肉質な鍛えられた体つき)でもあり、刑事役がとても似合う男性的な俳優です。
■ファチョン(火天会)の首長
虎族の後継で、四神の力を妨害しようとする牽制勢力であるファチョンの首長。タムドクとヨン・ホゲが生まれたジュシンの星が輝いた夜に目を覚ます四神の力を封印した神物を狙って、朱雀の神物を持つキハとスジニの家を襲い、キハを連れてきて育てる。ヨン・ホゲをジュシンの王であると勘違いし、キハとホゲを近づかせようと宮の神女にさせる。ヨン・ホゲの父、ヨン・ガリョと協力しタムドクに対抗する。
□チェ・ミンス(ファチョンの首長役)
1962年、5月1日生まれ。父は60年代に一世を風靡した俳優チェ・ムリョン。いわゆる2世俳優ですが、幼い頃に両親が離婚したため、父の影響ではなく、自力で俳優として大成功しました。
韓国最高のカリスマ俳優といっても過言ではないほど、芸能界の後輩から慕われている。1992年ホームドラマでデビュー、1995年『砂時計』で大ブレイクしました。『砂時計』では、激動の時代だった70~80年代の民主化運動の荒波に揉まれながら、愛する女性のために政治の裏世界に巻き込まれ、親友だった検事により死刑になるテス役を演じました。ちなみに検事のウソク役は、『太王四神記』でヨン・ガリョ役を演じるパク・サンウォンです。
このドラマの監督と作家が、『太王四神記』のキム・ジョンハク監督と作家のソン・ジナです。『砂時計』の縁があってか、キム・ジョンハク監督とチェ・ミンスは大の仲良しだそうです。ミスコリア大会のプレゼンターとして出演した時に、カナダ代表だったガン・ジュウンと出会いその場でプロポーズ! おしどり夫婦として有名です。ジャッキー・チェンの映画『THE MYTH 神話』には将軍役で特別出演、1997年に公開された映画『インシャラ』ではイ・ヨンエとも共演しました。剣道とバイク好きで、キザなセリフがとても似合うステキな俳優です。
■ヨン・ガリョ
ヨン・ホゲの父で高句麗貴族会議の最高指導者。ファチョンの力を借りて息子であるホゲを高句麗の王にさせるためタムドクの王位を脅威する人物。知略家で冷静な人物。
□パク・サンウォン(ヨン・ガリョ役)
1959年、4月5日生まれ。ドラマ『砂時計』で、チェ・ミンスの親友でありながら、対抗する検事になる役で有名になりました。ドラマではよく検事やまじめでやさしい家庭的な夫、誠実で熱心で心優しいサラリーマン役などを演じているせいか、信頼できる人物のイメージが強く、CMモデルとして大人気。ルポ番組や教養番組の司会も務めました。雑誌のアンケート調査では、10年以上も「結婚したい男性」、「婿にしたい男性」として上位にランクされてます。
『太王四神記』は「韓国を代表する大作ドラマ」
どうですか? 『太王四神記』を「ヨン様が出演するドラマ」と言うだけでは、もったいなくありませんか? 韓国では「ペ・ヨンジュンが主人公のドラマ」だから注目されましたが、フタをあけてみると、これは「韓国を代表する大作ドラマ」であると言われ、視聴率がどんどん上昇してます。あの有名なドラマ『砂時計』の黄金コンビ、キム・ジョンハク監督と作家のソン・ジナの作品でもあり、韓国の名俳優が勢揃いしてますからね。それに新人達の活躍も期待大です。
キム・ジョンハク監督の出世作ともいえる『砂時計』は、主人公の愛と友情を中心に、韓国現代史の裏を描いた作品。当時は、ソウルと首都圏でしか放送していなかったSBS(ソウル放送)で放映されたにも関わらず、64.5%の最高視聴率を記録。放映時間になれば道に人影がなくなるため「帰宅時計」と呼ばれ、社会現象にまでなったドラマです。週4回放映という、破格の編成でも話題になりました。『太王四神記』を観る前に『砂時計』を楽しみ、キム・ジョンハク監督のスタイルにハマってみるのもいいですね。
回を追うごとに、ますますハマりそうな『太王四神記』。今年は、『太王四神記』とそのロケ地めぐりで、忘れられない年になりそうです。
– BY 趙章恩
Original column
http://ni-korea.jp/entertainment/essay/index.php?id=15