第21回 月火ドラマ新作激突! KBS「春のワルツ」 vs MBC「君はどの星から来たんだい?」 |
2006年3月24日
●春の新作ドラマの波が押し寄せてきた
韓国は先週、雪は降るわ、風はすごいわ、急にマイナス8度まで下がるわで、真冬に戻ってしまった。これを韓国語で「コッセムチュイ(花が咲くのをねたむ寒さ)」と言う。面白い表現ですよね。3月、4月まで何度か「コッセムチュイ」があるものだから、冬物を早くクリーニングに出して仕舞い込みたいのだけど、そのタイミングが難しくて。
去年なんて、夏になってからやっとクリーニングに出したくらい。韓国では、4人家族だとたいていバスルームが2つあって、部屋が4つあるマンションに住むのだけど、夫婦の寝室には別途ドレスルームがあるところが多い。さらにあちこちに収納スペースが付いているけど、それでも嫁入り道具として立派な洋服箪笥を買わないといけないのは、一度にいろいろな季節の洋服を出しておかないといけないからかも知れない。家も、1人で押し入れ2つ分は占領している。どうにかしたいんだけど……。
「春のワルツ」に主演するハン・ヒョジュとソ・ドヨンは2人ともモデル出身の新人 (c)KBS(※ 画像はクリックで拡大) |
「春のワルツ」に対抗するMBCの月火・春ドラマは「屋根裏部屋の猫」「ラブストーリー・イン・ハーバード」のキム・レウォンと、「私の名前はキム・サムスン」で憎めないライバル・ヒジン役で一気にアイドル歌手から俳優として花開いたジョン・リョウォン主演の「君はどの星から来たんだい?」。
「春のワルツ」については、ますます磨きがかかった映像美を披露しているという評価もあれば、いつものストーリで飽きてしまうという評価もあるが、今までのところ結構いい! 出演者は新人ばかりで地味なところもあるけど。
「君はどの星から来たんだい?」はコミカルな場面や面白いセリフも多く、結構評価が高い。久々に登場したレウォンと、いつものイメージとは全然違う、強気だけど純粋な田舎娘がとっても似合うリョウォンの息もぴったり合っているから観ていて楽しいのだ。視聴率を比べてみると、「君は~」のほうがちょっと上。「春~」は10.9%、「君は~」は12%を超えた。
「春のワルツ」は、どうせ出生の秘密に記憶喪失に三角関係のあのパターンでしょう?」と最初はあまり評価が高くなかったけど、徐々に「ちょっといいかも知れない」に変わっている。主な視聴者は韓国でも年配の主婦層で、30代以下の女性は「君は~」のキム・レウォンにぞっこんなのだ。とはいえ、「私の名前はキム・サムスン」で大ブレイクしたダニエル・へニーが「春~」の主人公の1人なので、こっちも気になってしょうがない。だからどっちも早く観たいのよね。テレビを2台並べて同時に観たい!
視聴!
『春のワルツ』(KBS2・毎週月火夜9時55分から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。KBSのインターネットでの視聴方法について詳しくは第2回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編2<KBS>を参照。
『君はどの星から来たんだい?』(MBC・毎週月火夜9時55分から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。MBCのインターネットでの視聴方法について詳しくは第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。
『君はどの星から来たんだい?』(MBC・毎週月火夜9時55分から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。MBCのインターネットでの視聴方法について詳しくは第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。
●ユン・ソクホ監督の四季シリーズ最終章は「春」
中央がユン・ソクホ監督で、時計回りにジェハ(ソ・ドヨン)、フィリップ(ダニエル・へニー)、ウンヨン(ハン・ヒョジュ)、イナ(イ・ソヨン) (c)KBS(※ 画像はクリックで拡大) |
第1話のあらすじは–ウンヨンは工芸デザイン公募で賞を取りオーストリアに行くことになり、飛行機の中でイナに出会う。一方イナは、子供の頃に一緒にピアノを習ったジェハにアルバム制作の説得に行くところだった。
ジェハを驚かせようと、マネージャーのフィリップにジェハを連れて、空港まで迎えに来てほしいと頼むイナ。イナと面識のないフィリップは、ウンヨンをイナと思い込み、英語がほとんど話せないウンヨンと一騒動に。しかし結局はイナを見つけてジェハの車に乗せる。
運転していたフィリップは、街で偶然ウンヨンを見つけ一目散にウンヨンに近づき、「僕は君のガイド」とか言いながら市内観光に。そして、フィリップはウンヨンに、ジェハのコンサートチケットをプレゼントする。
その後、偶然にジェハとウンヨンは同じ列車の同じ車両に乗り合わせる。なぜか他の乗客が皆降りてジェハとウンヨンは2人きりに。そのとき、ジェハの頭の上にあったウンヨンのトランクが開いて、そこからコチュジャンが漏れジェハのセーターを汚してしまう。ウンヨンはクリーニング代の代わりにと「これ高いチケットなのよ」とジェハのコンサートチケットを差し出す。
そしてコンサート会場でウンヨンは隣の席を気にしながらジェハを待つのだけど、ご想像のとおりジェハが舞台に登場する。それを見て、怒りのために帰ろうとするウンヨン。しかし、ジェハがアンコールで、子供の頃が懐かしいと「クレメンタイン」を演奏すると、ウンヨンはその場に座り込んでしまう。
第2話からはウンヨンの子供の頃の話なのだが、早速ウンヨンが子供のころ兄と慕っていたスホがジェハだということがわかってしまい、緊張感がなくなる。
しかし、ここでユン監督の得意技が! これでドラマから目が離せなくなるというファンも多い。子供時代を過ごした赤い屋根の家と黄色に花が咲き乱れる島、ハート型の海岸、雪降るオーストリアの街並み、どの場面もため息が出るほど。ロケ地探しはもっぱらユン監督自身が行うということも驚きだ。
「春のワルツ」は、健気な女性が登場する「秋の童話」「冬のソナタ」「夏の香り」と続く四季シリーズの中でも、主人公がもっとも「キャンディ キャンディ」のキャンディっぽい。全体的には「冬のソナタ」と似ているので、冬ソナファンには嬉しいドラマかも知れない。
●明るさが魅力の「君はどの星から来たんだい?」
「春~」がオーストリアなら、「君は~」オーストラリアで海外ロケ! 「君は~」のヒロインのジョン・リョウォンは小学校5年から大学2年までオーストラリアに住んでいた、いわゆる移民逆戻りタレントの1人。「私の名前はキム・サムスン」では、ダニエルと流暢な英語で話していたのが印象的だった。1999年に韓国に遊びに来たときにスカウトされて、女の子4人グループ「シャクラ」でデビューし、2002年からは演技に専念したいとシャクラを脱退。アイドル歌手出身俳優の中でもっとも成功したケースだ。何十回もドラマのオーディションに挑み、最後の最後でキャスティングされたのがサムスン。それから一気に花開いたからよかったね。
キム・レウォンはバスケ選手だった中学生の頃、制服のモデルになったのをきっかけに映画やドラマで子役デビューし、1981年生まれという若さですでにデビュー11年を迎えた。特にこれといった起伏もなく、人気スターとしてファンからも監督や製作者からも一目おかれているのは、映画やドラマ中心で、そのほかのテレビ番組には出ず、プライベートでも1人で釣りに出かけるくらい。仕事が決まると役作りと演技以外は何も考えないという真剣なところが、人気の秘訣なのかも知れない。2007年には徴兵で軍隊に入ってしまうので、当分彼の作品が観られないと思うと心が痛みます。でも、ちょくちょく休んでいたから違和感はないかも知れない。
「君は~」は、ピとソン・へギョ主演の「フルハウス」で有名なピョ・ミンス監督の作品で、こちらも出生の秘密が絡むけど、とにかく明るくてつい噴き出してしまう場面がいっぱい! 個人的に、とてもお勧めしたいドラマだ。
「君はどの星から来たんだい?」主演のキム・レウォンとジョン・リョウォン。リョウォンは令嬢ヘスと田舎娘ボッシルの1人2役 (c) キムジョンハクプロダクション(※ 画像はクリックで拡大) |
ストーリーは–オーストラリアに移民したスンヒ(キム・レウォン)は、映画監督の父と女優の母をもち自らも映画監督として活躍している。高校の先輩ジョンフン(パク・シフ)の紹介で出会った大金持ちの孫であるヘス(ジョン・リョウォン。ボッシルと1人2役)と結婚を考えているが、彼女の母の猛反対で悩んでいた。スンヒはプロポーズを決意しドライブ中にヘスに指輪を渡す。しかし、指輪がシートの下に落ちてしまいそれを拾おうとした瞬間、前に停まっていたトラックと衝突しヘスは死んでしまう。
絶望したスンヒは、それから韓国に戻り何もせずぶらぶらと2年を過ごすが、ジョンフンの勧めで再起のためにミュージックビデオの監督を務める。ロケ地探しに江源道の田舎町を歩いていたところで、ヘスにそっくりな女性を見かけ、後を追う。
気がつくとそこは1日に1回したバスが通らない山間地域のど田舎。近くにホテルも旅館も何もないところ。ヘスにそっくりな彼女は、自分の家は民宿をやっているから来ないかという。彼女の名前はボッシル。ボッシルは事故で精神年齢が10歳に戻ってしまった母と2人で住んでいて、実は民宿などやったこともない。
スンヒのために母子2人で食事の準備をしたり大騒ぎ。ボッシルは、スンヒを勉強場所を探している司法試験浪人と勘違いし、色々説教したり変な目で見たりするが、その後スンヒは大勢の人を連れてミュージックビデオの撮影にやってくる。
撮影所で食事の支度を手伝うアルバイトに雇われたボッシルは、ヘスの従姉妹で音楽プロデューサーのミヒョン(カン・ジョンファ)と、制作会社の社長ジョンフンの目に留まり、母の手術代を稼ぐためにソウルで就職することになる。
ボッシルは、スンヒがいるチームの事務補助として就職はしたが、行く先々でスンヒとぶつかってばかり。スンヒは自分は監督だと威張ったり、ドジなことをしてボッシルにフォローしてもらったり、ボッシルのことが好きなのかな? と思わせてはまた嫌味を言ったり、わがままだけど憎めない役柄は、屋根裏部屋のときと変わらない。で、そこがいい!
一方、ジョンフンはボッシルがヘスの妹ヘリムであると確信し、あれこれ調べる。彼もまたボッシルの明るいけどちょっと悲しそうな、秘密めいた雰囲気と、無垢な心に惹かれていく。いつも自信満々で完璧な女性としてボッシルが憧れるミヒョンも、積極的にスンヒにアプローチし四角関係が始まる。
第2話に、スンヒがヘスを回想するシーンで、ピアノを一緒に弾きながらキスする場面があるのだけど、これ必見! 早速、名場面として語られているほどうっとりしてしまいます。オーストラリアの砂漠や海、またレウォンの出身地でもある韓国江原道の田舎の風景も見逃せない。
この2つのドラマ、どちらも見応えあるから、毎週月火は、どちらをVODに回すべきかで悩んでしまう。ラブコメとキム・レウォンが好きな私としては、先週は、ちょっと暗い「春のワルツ」よりもレウォンちゃんのおとぼけにギャハハと笑える「君はどの星から来たんだい?」を選択。でも、「ワルツ」も気になるものだから、途中で何度もチャンネルを替えてストーリーがこんがらがってしまった。2作品は、出生の秘密、四角関係、海外ロケでとっておきの風景などなど、似ているところも多いし。
次回も、春の新作ドラマを紹介する。「ハン・ガインとヤン・ドングンがカップルになったということだけでも視聴率20%は間違いない」と言われる「Dr.ケン」(発音が微妙でGGENG)。現代版チャングム物語で、青瓦台で大統領の料理人になる田舎娘の奮闘記「本当に本当に好き」、ソン・イェジン主演の「恋愛時代」など、まだまだ続きます。ご期待ご期待~。
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RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情」 Link