第22回:『太王四神記』のストーリーがわからない人のために 11


ついにスジニの居場所が明らかに!?



23話ではチュムチとタルビの微笑ましいというか笑ってしまうラブラブなシーンでホッとひと息つけたのですが、そのあとからは怒涛のごとくストーリー展開が早くなります。時間が流れるのも早く、タムドクもどんどん歳をとります。「え~とこの人は誰だっけ?」、「あれ? さっき長老はなんて言ったの?」と振り返っていると、もう全然違う展開が始まっていたり、あれよあれよという感じで最終回が終わってしまったなんて言われているほどなのですよ。「恐るべし」という感じの23話と24話なのです。「チュダルカップル(チュムチとタルビのこと)」のように、「タムスカップル(タムドクとスジニ)」も生まれてほしいと、ネットの視聴者掲示板で大騒ぎになったものです。


さて、後燕からの助けを求める手紙の中でスジニの言葉を見つけたタムドクは、急いで後燕に向かう準備をします。目立たないようにチョロ、ヒョンゴ、チュムチだけを連れ、王であることを隠すことにしました。タムドクは、タルビと結婚するチュムチを高句麗に残そうとしたのですが、チュムチが「自分が守らなくて、誰がタムドクを守るんだ」などと言うので、同行することになりました。


手紙を送った後燕のコ・ウンは、王様が軍隊を送ってくれると思っていたのに、たった4人で来たタムドクたちを見てがっかりします。コ・ウンは高句麗の流民で、子供達に高句麗の言葉を教えるため、家庭教師を雇っています。軍隊を送ることはできなくても、高句麗にはすごい傭兵がいるので必ず助けてくれるはずだと、その教師が言ったというのです。


その先生とは、実はすっかり髪が伸び美しくなったスジニでした。タムドクは、その教師がもしかしたらスジニなのではと、薄々感じているようです。コ・ウンは後燕の太子を守る戦に出るので、子供達を連れて田舎へ逃げるようスジニに頼みます。そしてタムドクが到着した時、スジニはタムドクを見かけてハッとします。


戦が嫌いなタムドクは、戦うことより、太子をこっそり宮殿から連れ出してはどうかとコ・ウンに提案します。太子を助けるために歩き出すタムドク。その姿をこっそり見つめるスジニ。その悲しい表情の美しいこと……。ため息モノです。またその顔がセオの顔と重なり、運命はこうやって巡り巡って来るのだと思い、胸がぎゅっと痛みました。


ヒョンゴは、後燕にいるコムル村の弟子に、その家庭教師について調べさせました。若い高句麗の女性で、1年前からその家にいたというのです。それを聞いたヒョンゴもまた、彼女がスジニに違いないと感じます。夜、酒を飲むタムドクとチョロを見つめるスジニ。チョロは何かを感じたような表情になります。タムドクと四神たちはつながっているのですね。








    7年もの戦いを経て……



    コ・ウンはタムドクに「これを高句麗の王に伝えてください」と、ある巻物を差し出します。それは「天弓」と書かれたものでした。ヒョンゴは驚きます。コムル村にこの巻物の前半が保管されているものの、その後半が書かれた巻物がこの世に存在していたとは……と言葉を詰まらせます。


    コムル村で天弓に関する巻物を確認したタムドクに、コムル村の長老は「これは大事に守られてきたものだが、燃やしてください」と頼みます。巻物には秘密の文字が書かれていて、液体をかけてロウソクの光を照らすと、たくさんの細かい文字が浮かび上がりました。それは天弓の使い方に関する文でした。天弓はチュシンの王だけが使え、チュシンの王の意思によって、天の神を生かすことも死なせることもできるのです。天弓はまた、神物を壊すこともできます。つまり天弓だけが神物を壊すことができますが、天弓を壊すと神物も壊れ、チュシンの王も天の神も死ぬと書いてあるのです。だから、チュモ神剣の中に隠してあったのです。コムル村の長老は、これは世の中に知れてはならない秘密なので、この古文書を燃やしてくださいと頼んだのです。


    タムドクはいぶかしげな表情をします。神はなぜ天弓という天の力を人間に与え、ファヌンはなぜその力を隠し、隠しながらも文書として秘密を残したのか……。そんな話をしながら、いたずらっぽく天弓を落としてみせ、ヒョンゴが冷や汗をかいていたそのとき、百済が高句麗を攻めてきたという知らせが届きます。


    それから7年も百済との戦争は続きます。そして最終的に高句麗が勝ち、タムドクは百済の58の城と700の村を手に入れます。百済のアシン王は「百済の周辺国まで手に入れるには、まだ1年以上も血を流さなくてはならない。これ以上の戦争はやめて、百済を兄弟国にしてはどうか」と提案してきます。が、フッケ将軍はいつも先に攻撃をしかけてくるのは百済なので、絶対にまた裏切って攻めてくるに違いないと主張します。しかしタムドクは、アシン王に百済を返し、「チュモ大王の元で高句麗と百済は兄弟で、同じチュシンの民であった」と言い残し国内城に戻ります。


    長い戦争のためか、タムドクの頬はこけ、ヒゲも伸びています。ちょうどこのとき、タムドクを演じていたヨン様は首、肩、ひざなど、痛くないところはないというほどケガをしていて、体調も最悪の状態だったのです。痛み止めの注射を自分で打つほどの激痛に耐えながら、歩くこともできないのに最後まで撮影を中断することなく続けました。このころのタムドクの険しい表情は、ヨン様の苦しみそのものが表現されていたのかもしれませんね。戦争に疲れ、それでもスジニはどこにいるのだろうかとひとときも忘れないタムドクと、ドラマを見守っている家族(ファン)のために、どんなに体調が悪くても撮影を最優先するヨン様の心は、同じなのかもしれません。


    さて、タムドクは暗い顔で言います。「チュシン王という名前、四神の神物、そのせいで失ったものがどんなに多いことか……母と父、そして……」。タムドクは誓います。天の力になんて頼らない。人間の力でチュシンの国を建てると。神や天より、人々の意思でみんな幸せになれるのではないか……。








      タムドクとスジニが再会!



      タムドクはこんなに苦しんだり悩んだりしているというのに、チュダルカップルは、も~幸せの絶頂ですよ。タルビは妊娠して、もうすぐ出産という時期を迎えました。ここで『太王四神記』唯一のキスシーンも登場します。韓国では新婚夫婦が仲良く幸せそうにしている様子を「ケガソダジンダ」と言いますが、これは「ゴマが振ってくる」という意味なんです。ゴマを収穫する時の様子から来ている表現ですが、ゴマの枝を束ねてちょっと乾燥させてから振ると、これもでか~というぐらいゴマが落ちてくるのです。その様子がとても楽しくて、見ていて気持ちがいいということで、新婚夫婦が仲良くしている様子をこのように表現するようになったといいます。おもしろい言葉でしょう? チュムチとタルビが登場するたびに、テレビの画面からゴマの香りがプンプンするようでしたね。


      「ドラマの中でリトル・チュムチは登場するのかな? 同じ髪型の赤ちゃんが登場したらおもしろいだろうな」なんて思っていたのですが、子供の登場はありませんでしたね。ドラマが終了してからのファンミーティングでは、客席から「子供は元気に育ってますか?」なんて質問があり、みんな大爆笑しました。


      一方、キハもタムドクと同じように、自分の妹であるスジニを探していました。名前を変えているかもしれないので「弓が上手な高句麗の女性を探し出せ」と命令します。そして神物を手に入れるため動き出します。


      高句麗にはまた知らせが届きます。後燕が3万人の兵力で高句麗の周辺に集まってきたのです。7年前タムドクに助けられた太子は、その2年後、北魏の30万の兵士に攻撃され、国を失い毒殺されました。後燕を裏で支配しているのは火天会で、北魏には高句麗から来たという大将軍がいましたが、それはなんとヨン・ホゲでした! ホゲは後燕の兵士達に、高句麗を攻めるふりをして火天会の本拠地である阿弗蘭寺(アブルランサ)に逃げてくるよう命令していました。この緊迫した事態に、今度は新羅から助けを求める要請が届いたのです。ホゲは、高句麗の兵士を分散させて攻撃するつもりです。ついに来るべきものが来た! というか、キハとホゲの表情がますます極悪なものになっていて、かわいそうなくらいです。


      後燕の現状をタムドクに教えてくれたのは、以前タムドクに助けを求める手紙を送ったコ・ウンでした。彼は今では、後燕の偉い将軍になっていました。コ・ウンの家にタムドクが来てから、スジニは挨拶もままならず、その家から逃げるように身を隠したのですが、コ・ウンが立ち寄った高句麗の客桟に、スジニとスジニが育てていたキハとタムドクの子、アジクがいました。


      タムドクは7年の歳月を感じさせるほどすっかり老けたのに(!)、以前のままのスジニの姿にも驚かされましたが、スジニが高句麗にいたなんて……そして、同じ高句麗にいながら居場所がわからなかったなんて……。コ・ウンがタムドクに後燕の実情を報告しながら、「タムドクが王でチョロとチュムチは将軍だったなんて驚きですね~。そういえばあの時、家にいた高句麗の言葉を教える家庭教師も、そのあと連絡が途絶えてしまったのですが、ここに来る途中で再会しました」と、ポロッとスジニの話が出たのです。


      すぐにコ・ウンと一緒に馬を走らせ、客桟に向かうタムドク。でも、スジニはそこにはいませんでした。出て行って間もないと思ったタムドクは、周辺を探します。そして、川辺で馬車の車輪が壊れ、川を渡れずに困っているスジニを見つけたのです。見つめ合うタムドクとスジニ。「いったい、今までどこで何をしていたんだ」と問い詰めたタムドクの視線と、スジニの涙が絡み合う場面は、ふたりの激しい愛を見たような気分になり、鳥肌が立ったほどでした。


      まだまだ物語はこれから……といったところなのに、残すところあと1話ですよね。キハとホゲの攻撃をどう防ぐのか? スジニと再会したタムドクは、彼女にどんな言葉をかけるのか? キハがタムドクの子を産んでいて、スジニが育てていたことをタムドクが知ったら? 不死身の火天会の長老をどう倒せばいいのか? ……本当にあと1話しか残っていないなんて、どうしたらいいんでしょう? 


      結末の予想がまったくつかない展開となっています。今までの韓国ドラマは、みんなハッピーエンドだから、安心して最終回を迎えられたのですが、『太王四神記』だけは不安です……どうなることやら。こんなに視聴者を悩ませるドラマもないですよね。韓国では、最終回を前にファンのあいだで、さまざまなパターンのエンディングが噂されたものです。さらに、最終回が放映されたあと、シナリオを書いたソン・ジナの「もうひとつのエンディングのシナリオ」がネットで公開され、波紋を呼びました。


      次回は最終回の話で盛り上がりましょう!


            BY  趙章恩


      Original column
      http://ni-korea.jp/entertainment/essay2/index.php?id=22

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