第26回:純情じゃなくてずうずうしいだけでしょう? オルチャンの変身~『十九の純情』







第26回
純情じゃなくてずうずうしいだけでしょう?
         オルチャンの変身~『十九の純情』

2006年7月11日


●社会団体に敵視されながらも25%を上回る高視聴率をキープ!?

 観るたびに「何これ~」と文句たらたら。純情なんじゃなくて涙を武器にしたずうずうしい女じゃないか! と興奮しまくり。でもまた観てしまうドラマがこの『十九の純情』なのだ。週末ドラマの「チルゴンジュ」も同じ路線、とにかく想像を絶するストーリーばかりで、社会団体に敵視されながらも高視聴率をキープしている。







オルチャン角度のスマイルがかわいいク・ヘソン
(c)KBS(※ 画像はクリックで拡大)
 1代目オルチャンとしてシンデレラのように芸能界デビューを果たしたク・へソンの初主演作『十九の純情』。名前からして60年代の催涙ドラマかと思ったら、ワールドカップ特番が続く中、『十九の純情』は1度も欠放することなく今現在韓国の全番組の中で視聴率1位、25%を上回る勢いではないか。

 オルチャンとは、2003年~2004年の流行語で、顔(オルグル)+一番(チャン)の合成語で、ネットに出回る卒業写真やスナップ写真、またはBlogやHompyに掲載された写真から、かわいい子がいると評判になり、ファンたちの同好会が作られ、芸能界にスカウトされるという道筋をたどった。ク・ヘソン、ナム・サンミ、パク・ハンビョルなどが代表的なオルチャンで、今ではうちの会社のオルチャン、うちの学校のオルチャンなど、日本語でいう「看板娘」みたいな表現として使われている。オルチャンはモムチャン(モムは体)、マウムチャン(マウムは心)などの派生語を生み出した。

 他のアイドルたちのようにトレンディードラマではなく一日ドラマ、月曜から金曜まで毎日30分ずつ放映され、大河ドラマのようにきつい撮影スケジュールをこなし、演技力も要求されるドラマに挑んだのは褒めてあげたい。一日ドラマはTV局のもっとも重要な広告軸である9時ニュースの視聴率を上げるための作戦なので、どの局の一日ドラマも、ホームドラマとして登場人物が多く、大家族を中心とした物語が多い。


視聴!『十九の純情』

 『十九の純情』(KBS2・毎週月~金の夜8時25分から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。700kbps以上はConpiaから利用。KBSのインターネットでの視聴方法について詳しくは第2回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編2<KBS>を、Conpiaでの視聴方法については第5回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編5<人気ドラマが揃うお宝サイトConpia>を参照。



●中国からやってきた朝鮮族娘の奮闘記







延邊最新ファッションに身を包むグッファ、前向きなのはいいけど周囲の人に迷惑かけっぱなし。ウギョンはグッファの事故処理に追われる毎日。でもグッファが嫌いじゃない
(c)KBS
 『十九の純情』は中国からやってきた朝鮮族娘の奮闘記。中国にある延邊朝鮮族自治州に住む19歳のヤン・グッファは、両親を亡くし母方のおじさんの家に居候している。貧困から脱出するために、自分より20歳近く年上で足が不自由な韓国の男性スングとお見合いし、やさしい心に惹かれ結婚を決意する。延邊の家族に見送られ結婚式のためにやってきた韓国、だが新郎は交通事故で亡くなり結婚式はお葬式に変わる。

 延邊に帰らなくてはならないが、グッファは仕送りを期待するおじさん家族を思うとこのままでは帰れないと決意し、帰る振りをして逃げ出し、日払いの掃除などの仕事を始める。だがどこに行っても文化の差から問題を起こし、結局スングの家に戻ってくる。スングの甥ウギョンはなんとかグッファを助けてあげようと、あれこれ世話を焼くうちに、彼女に女性として惹かれていく。ウギョンはグッファのことなら仕事もほっぽらかしにしてどこにでも飛んでいくが、ドラマとはいえよくクビにならないな~と心配になる。

●リアルな人間味をもつ登場人物が多いのも魅力







左からユンフ役のソ・ジソク、シンヒョン役のチュ・ソヨン、グッファ役のク・ヘソン、ウギョン役のイ・ミンウ
(c)KBS
 ウギョンの友人であり上司でもあるユンフは会長の息子で、実力はあるが性格はかなりきついわがままで、2か月以上勤まる秘書がいない。幼馴染で両親の友人の娘であるシンヨンと結婚するよう望まれるが、失恋からまだ立ち直っていない。ウギョンのおじの葬式で自分の靴を勝手に履いて庭で泣いているグッファを怒鳴りつけるが、数日後財布を忘れてきたのにガソリンが底をついて立ち往生しているとき、道端でゆで卵を売っているグッファと再開、高級ブランドの時計を預けてお金を借りる。グッファは予想どおり時計をなくし、不法滞在で追われユンフと約束した場所に行けず、会うことができない。

 ウギョンの家族は、「グッファが家にいると亡くなったスングを思い出してしまうので辛い」と延邊に帰るよう説得するが、グッファは帰れない。シンヒョンは両親を亡くし、弟も徴兵で家にいないからグッファを自分の家に泊めてあげる。グッファはシンヒョンが夜遅くまで残業していると聞き、恩返しにお弁当を作りシンヒョンの会社を訪れ、偶然中国から来たバイヤーの通訳をこなし、シンヒョンの助けでユンフの秘書に採用される。

 だが本当、これも予想どおりに常識外れの行動をしまくるグッファ。日曜日に突然会社の掃除をしたいとジャージ姿でやってきてはユンフのソファーで寝ていたり、電話がなると受話器ではなくマウスを握り「ヨボセヨ(もしもし)」、機密書類を自宅に置いてきたからタクシーで早く取って来いとタクシー代まで手渡されたのに、慣れない地下鉄に乗り狂ったように居眠りして書類を忘れたり。機密書類をなくした決定的な事件で解雇されるが、後先かまわずひざまずいて、「許してくれ、私には仕送りを待っている家族がいる」と泣いたり。こんな、常識ではとても理解できない数々の言動により、視聴者掲示板には「朝鮮族を見くびっている」との苦情が絶えない。

 またウギョンのお祖父さんは、自分の嫁の幼馴染に恋をし、息子と三角関係になるという信じられないシチュエーションも繰り広げられている。

 結果的にユンフとグッファが結ばれ、これまたずうずうしいの代名詞のような変な性格のユンフの妹ユンジョンとウギョンが結ばれるらしいが、視聴者としての望みはグッファとウギョンがベストカップルじゃないかな~。グッファのとんちんかんな性格と行動を理解してくれるのは、ウギョンしかいないだろう。

 ドラマを見て、自分の事のように興奮すること自体アジュンマ(おばさん)になった証拠と言われているが、このドラマは意外に中毒性がある。料理研究家としてかしこい家事のこなし方など主婦向けの講座も開いているが、家の中では指一本動かさないユンフの母や、お金より愛を選択したのはいいけど無能な夫のせいで生活に困るユンフの姉など、リアルな人間味をもつ登場人物が多いのも魅力なのよね。みなさんもOnairで見てください。


By-
RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情 
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