第8回:短編なのに映画を一本見終わったような充実感あり!~ドラマシティ~





第8回 短編なのに映画を一本見終わったような充実感あり!
~スターのドラマデビュー実験舞台『ドラマシティ』~

2005年8月17日


 『ドラマシティ』は毎週土曜日夜11時から放映される短編ドラマコーナー。毎週作品ごとに監督も作家も俳優も変わり、まったく違う雰囲気のドラマが披露される。ほのぼの系のドラマもあればアクションもあり、ちょっとホラーっぽいのもある。だから土曜日の夜は名画劇場を選択するべきか、『ドラマシティ』を選択するべきかでかなり迷うけど、やっぱりドラマ好きに『ドラマシティ』は外せない。

 毎週1時間で終わる短編なので、視聴者を惹きつけるにはタイトルがポイントとなる。「今夜は家に帰らないで」、「うわきするお父さん」、「記憶が恋に質問した」、「誰も私を愛していない」、「謎の宝島」、「住宅改補修作業日誌」など、ちらっと聞いただけで何かありそうなタイトルが多い。

●傑作中の傑作『誰も私を愛していない』~ソ・ヨンヒ大ブレイクのきっかけに!

 『ドラマシティ』の作品はみんなそれなりにいい味を出しているので当たり外れはないけれど、その中でも傑作といわれているのが今年2月20日に放映された『
誰も私を愛していない』だ。

 密室のようなオフィテル(1LDKでオフィスとしても住居としても利用できる賃貸マンション)で寂しく一人暮らしをする27歳の独身女性ファジン。最愛の彼に一方的に別れを告げられ、ますます内気な性格になってしまったファジンは、お隣に住む好奇心旺盛で同じく一人暮らしのおばあちゃんが唯一の友達という孤独な人生。そんな彼女にある日突然メールやバラが届くようになる。戸惑う彼女の前に現れたのは……。

 ファジン役のソ・ヨンヒは映画俳優で、出演作は「嫉妬は私の力」、「クラシック」、「マパド」など。これがドラマ初主演だったが、悲しそうな透明な瞳が魅力で、ドラマを引張っていく集中力があると絶賛され、この後すぐKBS週末ドラマとミニシリーズに抜擢され、「遅咲きの花」、「2005年もっとも注目すべき俳優」として連日テレビに登場している。








誰も私を愛していない (※ 画像はすべてクリックで拡大)
(c)KBS


視聴!<ドラマシティ>

 『ドラマシティ』(KBS1、毎週土曜日夜11時~)を視聴するには、番組ページからタイトルをクリックすると、あらすじと56kbps、300kbpsのVODが表示されるので、視聴環境に合った帯域をクリックする。
 KBSについて詳しくは
第2回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編2<KBS>を参照。



●笑いと涙が程よく交差~女の子の成長物語『謎の宝島』

 5月28日放映された『
謎の宝島』もかなり新鮮なストーリーで面白かった。

 誰もがもっている人生の謎について、子供の目線から探る展開なのだが、韓国ではまだタブーな「トレンスジェンダー」が登場したことでも話題になった。

 ショーパブの厨房で働くお母さんと二人暮しのおませな小学校5年生の女の子ヒョンギョンは、2階に住むまだ手術していないため体格は男そのもの、背は187センチ、軍隊まで行ってきたトレンスジェンダーのジェニーと仲良し。「どうして私にはお父さんがいないのか」、「どうしてジェニーは女になりたがるのか」、「どうしてうちにはお金がないのか」、人生の謎を解決していこうとする女の子の成長物語なのだが、笑える場面とジーンとくる場面が上手い具合に交差されていて、1時間があっという間に過ぎていく。再放送までしっかり見てしまったほど、とてもよくできたドラマだった。

 特にジェニー役のイ・ヨンジュはMBCホラーコメディ「アンニョン・フランチェスカ」で、いつもピンクレディー(フランチェスカと対抗する花札最強チャンピオンでピンク好きなおばさん)に殴られっぱなしの思いっきりバカなだめ息子役がすごく似合っていたので、『ドラマシティ』でのトレンスジェンダー役にはびっくり!! 彼も『ドラマシティ』での印象的な演技がきっかけとなり、デビュー6か月でドラマの花ともいえるMBCの新作ミニシリーズに抜擢された。








謎の宝島
(c)KBS


●韓国版「シックスセンス」~『住宅改補修作業日誌』

 3月13日に放映された『
住宅改補修作業日誌』は、韓国版「シックスセンス」! これはすごかった。

 リモデリング専門業者「ハウスドクター」の社員ドギョンは、1年前に人が死んだと言われる家を訪れる。奥さんからの依頼で訪問したが、家には妻と別居中という主人ジンギュしかいない。彼はドギョンに「家を改造すれば家内は戻ってくるのでしょうか」と奇妙な質問をする。ドギョンは昼間でもブラインドを下げて真っ暗にした部屋に閉じこもり、妻が帰ってくるのを待ち続けるジンギュに興味を抱く。そして、1年前にその家で殺された浮気相手とジンギュの妻の秘密が明かされていく。

 最後の5分間、大どんでん返しが待ち構えているが、まったく予想もつかないほど台本がとてもよかった。シックスセンスと同じようなパターンだが、ドギョンの存在にまでも隠された秘密があったとは驚き。視聴者からは続編やシリーズとして製作してほしいとの意見が多かったが、『ドラマシティ』は実験的なドラマをどんどん紹介することを目的にしているため、続編はなかった。

 このドラマは、ホラー映画「女高怪談」のおばけ役で注目され、今ではドラマ・映画・ラジオと大活躍しているチェ・ガンヒが主演。チェ・ガンヒは生放送なのに急に沈黙したり、出演者とのトークに夢中になりCMが始まるのも忘れてしまったり、のほほん~としたパーソナリティーとしても人気急上昇中。現在はキム・ミンジョン、シム・ジホと一緒にMBC水木ドラマ「離別に対処する我々の姿勢」に出演中。








住宅改補修作業日誌
(c)KBS

 『ドラマシティ』は、有名歌手や映画スター、お笑いスターのドラマ初出演作によく選ばれるほど、とても評価が高い作品ばかりが放映されている。また新人の演技力を試す舞台にもなっている。短編なので時間をかけて製作し、細かい部分までチェックされるので、『ドラマシティ』の主演になれた新人は必ず成功するとも言われているほどだ。

 モデル出身やマルチタレントらのどんちゃん騒ぎが売り物のドラマがMBCの『ノンストップ』だとすると、『ドラマシティ』は本格的に演技を始めたい新人のステップアップコースという位置づけだ。

 先週は、バラード歌手で日本でも9月にシングルアルバム「送歌」を発売するイ・ギチャンが主演の70年代学生運動時代の物語だったし、今週8月20日にはCMで人気の若手俳優らがどっさり出演する「夏、離別物語」が放映される予定だ。

 『ドラマシティ』は俳優だけでなく、作家の登用門として毎年脚本を公募している。毎年3,100件以上の応募があり、3~4編が選ばれ年末特別ドラマとして放映されるので、こちらもお楽しみに。


By-
RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情」 Link

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *