第9回 韓流の未来はクォン・サンウ! ~『悲しき恋歌』韓国放映当時のこぼれ話~ |
2005年8月31日
●韓国では視聴率伸び悩み!? それでもクォン・サンウ人気は鰻上り
製作発表があった2004年夏から様々な理由から話題持ち切りに (※ 画像はすべてクリックで拡大) (c)iMBC |
だがみんなの期待を裏切り、新鮮さがない、怒りたくなるようなありえないシチュエーションの連発など、韓国での視聴率は思うように伸びず、マスコミの評価も厳しかった。クォン・サンウは視聴率が20%を超えればスタッフ全員にご飯をおごると宣言したそうだが、結局実現できず。
「76億ウォンの制作費を海外ロケとギャラでほとんど使い果たしてしまったため完成度が落ちた」、「視聴率30%以上取れるはずがせいぜい12%、タイトルどおり悲しい運命」などと言われたが、クォン・サンウの演技はみんなべた褒めで、ドラマが失敗すると人気も落ちるのが当たり前だが、クォン・サンウだけは悲しくやさしく自分には厳しい男性キャラクターをうまく表現したと株が上がり、CM収入もぐんぐん伸びた。
二人は親友だったが… (c)iMBC |
別荘スタジオでジュンヨンが寝ているとき、ヘインがジュンヨンかどうかを確認するために顔を触ろうとしたけれどあきらめて振り返ったとき、手で目を覆いながら涙を流したシーン、ゴンウがジュンヨンが幼い頃ヘインのために作曲した「何度別れても」を歌ったとき、ヘインが感動しているのを見て背を向けて涙を流すシーンがとても印象的だった。
スキー場でゴンウがヘインの手を自分のポケットに入れたり、誰も邪魔できないような仲いい恋人同士になっているのを見て、気付かれないよう毛糸の帽子を深くかぶり直しながら涙を流すシーンなんて、屈指の名場面と称えられている。
視聴!<悲しき恋歌>
『悲しき恋歌』(放送期間:2005年1月5日~3月17日・全20話)の視聴は、MBCのドラマ視聴ページから。海外利用者用のメニューはなく、300kbpsは1話500ウォン(約55円)、1Mbpsは1,000ウォンで、決済後6時間まで見放題。
MBCについて詳しくは第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。
MBCについて詳しくは第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。
●東洋画専攻のクォン・サンウ~個展が開かれる日も近い!?
がっちりした筋肉と甘いマスクで「モムチャン(モムは体、チャンは一番という意味)」としてスターになったクォン・サンウは、「天国の階段」でも映画「同い年の家庭教師」でもお坊ちゃま役で、実生活でも裕福な家庭で育った一人息子のような印象だけどそうではなかった。
ファンなら誰もが知っているストーリーだけど、クォン・サンウは生後6か月で教師だった父を肝臓癌で亡くした。お母さんがお手伝いさんとして働いてやっと生活したほど貧しく、お弁当の代わりに水道の水を飲んでしのいだほど。中学からは父の遺産を横取りした親戚との訴訟にやっと勝ち、生活が楽になった。小学校3年になるまで父は外国にいると信じていたクォン・サンウは、安定した職業でお母さんを楽にしてあげたいと教師になった5歳上の兄に続いて自分も美術教育科で東洋画を専攻し、俳優生活の合間をぬっては兄が勤める中学で教育実習まで済ませ教師資格を取った親孝行者として有名。
中学のころから地元では有名な美少年で、初恋は高校時代。同じ画室で美大入試準備をしたお姉さんで、初キスも入隊前そのお姉さんとしたとか。クォン・サンウは最近でも、水墨画の感覚を忘れないために俳優達の顔を描き続けているそうなので、近いうちに彼の個展が開かれるかも! ドラマ以上に期待してしまうな~。
酒もたばこもせずサッカー好きだった父の影響から、クォン・サンウも酒とたばこがまったくだめなまじめな青年で、「同い年の家庭教師」でかっこよくたばこをくわえるために、すごく努力したそうだ。
●クォン・サンウは頂点にいながら期待株!!
かわいくも逞しいクォン・サンウは男性からも好感度No.1 (c)iMBC |
クォン・サンウといえば思い出すのが新人時代のあるエピソード。デビュー当時、彼は無口な不良少年役が多く、性格もシャイだったからマスコミから「生意気だ」と叩かれた事もあった。
筆者も彼は結構とんとん拍子でスターになったから苦労なんて知らないんだろうな~と思っていたところ、知り合いのライターがクォン・サンウをインタビューすることになった。もうその日からクォン・サンウの大ファンになってしまった彼女。「バカな質問にもすごく真摯に答えてくれてさ~時々恥ずかしそうに笑うあの笑顔がもうかわいくって! 風呂敷に包んで持って帰りたかったわよ! 礼儀正しくてビシッとしてるんだよね。本当にこの人はまじめに生きてるんだなって、伝わってくるの。マネージャーが言うには毎晩どんなに疲れていても必ず腕立て伏せを500回しないと寝ないほど自己管理に厳しい人なんだって。話してみるとすごく負けず嫌いなところもあって努力家でもあるから、絶対大物になるよ」ともう泡を吹きながらクォン・サンウを褒めまくっていた。
この後映画「ひとまず走れ!」の試写会で会ったときは「スンホンに比べると僕の出番はほとんど編集されてしまった。もっと頑張るべきだった」と泣きそうな顔をしていたとか。でもその後すぐ「同い年の家庭教師」で大ヒットを記録したから、これは負けず嫌いだったからこそつかめた成功かも。インタビューで「同い年の家庭教師が成功してよかったのは、母と兄が喜んでくれたことかな。兄が珍しく酒を飲んで泣きながら電話してきたんです。本当に嬉しくて父の墓に行ってきたって…」。
もっとも尊敬する人は母、肌がきれいで自分の母さんのように母を大事にしてくれるお嫁さんが欲しいんだとか。『悲しき恋歌』では母に反発するシーンがとても難しかったそう。「現実と重なりとても胸が痛んだ。5話で母が亡くなり母と息子の愛憎が短く終わってしまうのが残念」と話していたほど。
●ゴンウ役ヨン・ジョンフン人気も上昇中
ニューヨークでのゴンウとヘインのシーンも美しく印象的 (※ 画像はすべてクリックで拡大) (c)iMBC |
●趙章恩の韓国旅行ガイド
~「悲しき恋歌&天国の階段」編~
『悲しき恋歌』の撮影セットはピ主演のドラマ「フルハウス」と同じ仁川の矢島(シド)にある。 空港がある永宗島を中心に右は『悲しき恋歌』、左は「天国の階段」セットがある舞衣島があるので、朝から急げば両方見られる。仁川空港からバスかタクシーで「三木船着場(サンモッソンチャッジャン)」まで行き、船で10分の信島(シンド)で降りると橋でつながっている矢島に行ける。セット場は白い別荘の前に主人公らの大型看板が並んでいるのですぐわかる。中国のクォン・サンウファンには必ず訪問すべき聖地になっているとか。韓国を訪問された際には、ぜひどうぞ。
●映画・ドラマとこの冬はクォン・サンウ尽くしに
韓国は数え年なので、1976年生まれのクォン・サンウは今年30歳になる。「30歳初めての作品である悲しき恋歌は特別なドラマ。今までは演技よりルックスで人気を得たけど、これからは演技で評価される新しいクォン・サンウになりたい。死ぬ役もやってみたかった」と本人も演技で評価してほしいと言っていたほど、情熱を込めたドラマだった。
韓国での評判は今ひとつだった『悲しき恋歌』だが、日本ではとても人気だと連日韓国でも報道されているので、海外市場で「冬のソナタ」のように末永く愛される作品になってほしい。ちなみにクォン・サンウは映画「野獣」の撮影が9月中旬に終わり、それから「同い年の家庭教師」でも共演したキム・ハヌルとの「青春漫画」という映画を撮影する予定。
「青春漫画」は、ジャッキー・チェンのようなアクション俳優になりたいジファンと最高の女優を夢見るダレ、この二人の幼なじみが繰り広げるメロドラマで、来年お正月公開予定。「野獣」は12月公開予定なので、この冬はクォン・サンウ尽くしになりそう!
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RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情」 Link