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韓国のセブン-イレブンは2012年11月29日、プリペイド携帯電話の販売を始めた。コンビニで携帯電話本体とSIMを販売するのは国内で初めてである。まずはソウル市中心部にあるセブン-イレブン20店舗で開始、12月6日より全国7000店舗で販売する。ネットでも販売する。
販売する端末は中小メーカーが手掛ける「プリピア」というバータイプのフィーチャーフォン。端末価格8万4900ウォン(約6500円)に1万ウォン(約760円)分の電話料を含む。これはスマートフォンの10分の1の値段である。SIMと回線はMVNOのSKTelinkが提供する。同社はSKテレコムの子会社で、国際電話、市外電話サービスを提供する通信事業者。2012年6月よりMVNOサービスを開始した。
携帯電話を購入してもすぐ使えず、犯罪に悪用されるのを防止するため、SKTelinkのWebサイトまたはコールセンターで本人確認を行ってから電話番号をもらう。それから端末に同封されているSIMを端末に差し込んで使用開始となる。本人名義のクレジットカードまたは携帯電話を持っている人だけが対象なので、未成年者と外国人の名義では購入できない。親が買って子どもに使わせることはできる。1人4回線まで申し込める。
料金制度はいろいろあるが、基本料金なしで通話料10秒当たり36ウォン(約2.9円)、SMS1件20ウォン(約1.5円)、使った分だけをチャージした金額から差し引く料金制が注目されている。クレジットカード、振り込み、固定電話料金の合算請求などで入金する。
プリペイド携帯の販売についてセブン-イレブンは、「仕事用とプライベート用に電話番号を2つ使いたいが、最近はスマートフォンしか売っておらず費用の負担が大きすぎることから諦めていた人や、音声通話とSMSしか使わないお年寄り、ネットにつながらない携帯電話を子どもに持たせたい親、スマートフォンを紛失して一時的に新しい携帯電話が必要な人をターゲットにしている」と説明した。安いフィーチャーフォンとはいえ、テレビ電話用の30万画素カメラ、MP3プレーヤー、ラジオ、SDメモリーカード、Bluetoothに対応する。コンビニで販売する、手軽で激安なMVNOであるが、問題はアフターサービス。端末メーカーであるプリピアのサービスセンターが全国に1つしかないため、端末に不具合が生じてもサービスを受けられないのではないかと心配するユーザーもいる。
セブン-イレブンのプリペイド端末は、韓国初のW-CDMAとGSMのデュアルSIMで、韓国のSIMと海外のSIMの2枚を差し込んで使えば、韓国では韓国の携帯電話番号を、海外では海外の携帯電話番号を使える。海外出張が頻繁なビジネスパーソンは、現地で電話を使うと受信するだけでも非常に高いローミング代を払わないといけなかったが、現地のプリペイドSIMを端末に差し込んで使えるので電話代を節約できる。
セブン-イレブンを第1弾として、大型スーパーのHomeplusやEmartもKT、SKテレコムと提携して激安MVNO端末の販売を準備中だ。2012年12月中には販売を開始する予定。オンラインショッピングモールもMVNO携帯電話販売の特設ページを作るほど力を入れる。
長引く不景気の影響なのか、携帯電話も高額なスマートフォンと激安フィーチャーフォンの二極化が進んでいる。MVNOはスマホとフィーチャーフォンの2台使いを狙うというが、ソウル市内は無料で使える公共Wi-Fiが整っているので、MVNOのフィーチャーフォンとタブレットPCのWi-Fiモデルだけでも十分“スマートライフ”を楽しめそうだ。年末にはGalaxyスマホの半額以下という価格の中国産スマホが韓国でも発売されるというので、それもユーザーは期待している。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20121130/1072422/