日本の節電に負けず、韓国もこの夏は節電、省エネを重視するようになってきた。その理由は電気代の値上がり。2011年の下半期に約8%の値上げが予定されている。家計負担を重くしないため、家庭用よりも産業用の電気代をもっと値上げする方針ではあるが、給料だけが上がらないインフレの中で、節電は家計を助けるため切実となっている。
ここで節電といえば何よりもパソコンを思い浮かべる。
韓国はネット大国らしく、すぐインターネットが使えるようにと、家庭にいる主婦の多くがパソコンを一日中つけっぱなしで利用する。スマートフォンやタブレットPCが普及したとしてもまだ大学生やビジネスパーソンが中心なので、主婦のネット利用は家庭のデスクトップパソコンが多い。
韓国の携帯電話はネットに自由にアクセスできないようになっているので、料理のレシピを調べたり、主婦コミュニティで育児の悩みを書き込んだりするにはパソコンが必要になる。
筆者は、学生のネット利用やネットを使った学習関連の取材で、一般家庭を訪問することがよくある。ほとんどの家庭がデスクトップパソコンを子どもの人数分持っていて、1台は必ず電源をつけっぱなしにしていた。検索したりニュースを見たりする度にデスクトップパソコンを立ち上げるのが面倒だからと、本体はつけっぱなしにしてモニターだけ電源を切る家庭がとても多い。
2010年9月に実施されたインターネット利用実態調査(韓国インターネット振興院)によると、国内ネットユーザーの週当たり平均ネット利用時間は約15時間、ネットの利用場所はほとんどが家庭で、アクセスする端末も複数選択であるが8割がデスクトップパソコンを選んだ。
韓国では消防防災庁が開発して無償配布する「PCグリーンパワー」が話題だ。これはデスクトップパソコンを節電してくれるソフトウエアである。時間を設定すると自動的に作業内容を保存してデスクトップパソコンの電源を切ったり休止状態にしてくれるので、ランチタイムも、うっかり消し忘れて帰宅してしまったあと深夜の時間帯も電源を切るよう設定できる。また書類作業の途中で急な会議に呼ばれパソコンをつけっぱなしにしてしまったときも、パソコンが自動的に動作を認識して作業内容を保存して休止状態にしてくれる。
韓国消防防災庁が無料で提供するパソコン節電ソフト「PCグリーンパワー」
Windowsの電源設定は複雑だし、何分後に電源を切るという設定しかできない。最新のデスクトップパソコンはノートパソコンのように節電機能が搭載されているが、そうでないパソコンの方が多いので、ソフトをインストールするだけで複数のスケジュールを設定してこまめにパソコンを休止状態にし、電気の無駄使いを防止できるところにこのソフトの利用価値がある。アイコンをクリックするだけで休止状態にする機能もある。「PCグリーンパワー」のダウンロードサイトでは、一日中デスクトップパソコンをつけっぱなしにする家庭の電気代節約のためにも、このソフトは効果的とうたっている。