通話料値下げ競争に走る
代わりに基本料大幅値上げ
【ソウル発】携帯電話における奨励金支給が解禁され、新規加入者向けの激安端末販売合戦が繰り広げられている韓国で、今度は加入者間通話料割引競争が始まろうとしている。
韓国の最大手キャリアSKテレコムは10月1日から、基本料を値上げする代わりに加入者間通話料を50%安くする料金制を導入することにした。これに続きKTFとLGテレコムも同じような料金制度を準備している。加入者間通話料割引は同じキャリアに加入している電話同士の通話料を割り引くもので、日本のソフトバンクの料金制度「ホワイトプラン」をモデルにしている。
SKテレコムは月2500ウォン(約300円)を追加すると加入者間通話料が50%安くなる。KTFは月2000ウォンを追加すると加入者間通話料を60-70%安くする制度を2008年1月から導入することを検討している。KTFの役員は「SKテレコムとの料金差別化のために加入者通話料割引幅を大きくし、通話料そのものを引き下げる案を検討している」と話し、携帯電話加入者らがSKテレコムの加入者間通話料割引にどんな反応をみせるかを把握しながら決めたいとしている。LGテレコムは月2000-3000ウォンを追加すれば加入者間通話料を無料にすることを検討している。同社の関係者は「SKテレコムの移動電話料金調整に対応し、基本料を値上げする代わりに加入者間通話料を無料にするなど、多様な料金体系を検討している」と語る。
通話料が安くなれば加入者にとっても有利なのではないかと思われるが、基本料金を大幅に値上げすることで結局のところキャリアの収益が増えるだけだと市民団体は反発している。ソウルYMCAは「移動通信キャリア3社を料金談合疑惑で公正取引委員会に告発する計画だ」と断じた。
SKテレコムは、加入者2146万人のうち過半数の1160万人が加入者間通話料金制度に加入すると予想している。だが問題は、消費者が実感する割引効果がさほど大きくないということだ。YMCAがさまざまな状況を勘案して分析してみた結果、実質料金引き下げ効果は2.66%前後で、最大5%にもならないと推定されている。
加入者間通話料割引は98年からあった制度だが、移動通信サービス市場がSKテレコムに偏りすぎているため規制しなくてはならないとして、情報通信部が02年に全面的に禁止させていた。これをまたSKテレコムの要求で解禁するのは情報通信部の中立性も問われるところだ。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)