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韓国では2021年からSNSやテレビで見かけるようになったAIヒューマン。芸能事務所と契約しテレビドラマやCM、イベントの司会として活躍するAIヒューマンがどんどん増えている。非接触型社会が定着してからメタバースで新製品の発表や商品の宣伝を行う企業が増えたことで、AIヒューマンの活躍の場も増えた。テレホンショッピングで商品を販売したり銀行で各種取引の手伝いをしたり、AIヒューマンは身近な存在になっている。
韓国でいうAIヒューマンは「バーチャルヒューマン」にAIを組み合わせたものである。3Dエンジンで生成する人間らしい表情や動きをするバーチャルヒューマンに大規模言語モデル、音声合成AIなどを搭載し双方向のコミュニケーションができるよう試みたものである。バーチャルヒューマンやAIが生成する特定人物のクローンは、音声合成でテキスト入力通りに話したり、決まった動作を繰り返したりするが、AIヒューマンは一歩進んで話の内容に合致するトーンで話す技術、話す内容と唇・顔の表情を合わせる技術、音声認識で相手の言葉に反応する技術、自然に対話を続けられる技術などを加えた。
インスタのフォロワー数は14万人超
韓国の元祖バーチャルヒューマンは映画製作会社Sidus社が開発した「Rozy」で、22歳ソウル生まれの女性という設定である(図1)。インスタグラムのフォロワーは14万人を超える。テレビにはRozyが登場するCMが連続で流れ、ラジオ番組にも出演、ファッションブランドとのコラボも多数こなしている。年間収入は2021年15億ウォン、2022年20億ウォン見込みというインフルエンサーに成長した。Rozyは韓国NAVER社のNES(Natural End-to-end Speech Synthesis)で自分の声を持っているが、まだコミュニケーション機能や自分で何かを生み出す機能はなく、決まった動きをするバーチャルヒューマンに留まっている。
図1 映画製作会社Sidus社が開発したインフルエンサーの「Rozy」
(画像:Sidus社)
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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
《日経Robo》 2022. 9.
-Original column
韓国ではテレビやイベント、SNSで AI技術により生成したバーチャルヒューマンが活躍 | 日経Robotics(日経ロボティクス) (nikkei.com)