まったく不景気には見えないほど活気にあふれている韓国。でもやっぱり、失業やワーキングプアが問題となっています。「節約! 節約!」が一番のこの時期、夏の休暇も秋の行楽も、お金をかけずに楽しむためのノウハウがテレビや新聞で紹介されています。
実家に帰る(顔を見せるだけで親孝行、さらにお土産もいっぱいもらえる)、自転車で全国一周(ダイエットにもなる)、とにかく歩く! といった古典的な方法以外にも、田舎で民宿しながら農業を体験できるファームステイ、お寺でじっくり座禅と瞑想、自分磨きができるテンプルステイ、森の中でのキャンピングなどが紹介されていました。
テンプルステイや、伝統屋敷である韓屋を利用した民宿はヨン様の本「韓国の美をたどる旅」でも紹介され、さらに注目を浴びています。その中でもこの秋、韓国でブームになっているのは「歩く旅」と「オートキャンピング」です。
歩く旅は済州島のオルレキル(オルレ道)が有名ですよね。エコやWell-being、ロハス、スローライフといった言葉が生活に定着してから、みんな自然を守りながら楽しむことの重要さに気がつきました。ヨン様もしきりに「何よりも大切なのは自然、ちゃんと守って後世に残してあげないといけない」というような話をされていますが、まさにそのとおりです。
オートキャンピングは車にテントとバーベキューセットを詰め込んで、山や川に出かけるキャンプの旅のことです。あまり動かなくてもいい……ということで、私はオートキャンピングを選びました。
目的地はソウルから東北へ2時間以内で行けるカピョン(加平)のチュンミサン(仲美山)です。深い森が残っていて渓谷もあり、漢江の上流にあたる清浄地域として知られているところです。世界キャンプフェスティバルのような大規模なイベントも、カピョン一帯にあるキャンプ場で開催されたんですよ。
しかし! 土曜日の午後、あまりにも道が渋滞してしまいギブアップ! カピョンまでは行けず、途中のテソンリ(大成里)で車を止めました。この頃は全国どこに行ってもキャンプ場があるので、近くにあるテソンリオートキャンプ場へ入りました。テントひとつあたり1泊2万Wです。
テソンリといえば、大学生のMTの名所です(MTは「メンバーシップトレーニング」の頭文字を取ったもので、合宿のようなもの。「ニッコリアTV」でも紹介しているのでご覧ください)。目の前に広がる北漢江には、水上スキーやバナナボートに乗ったり、自転車をレンタルして川沿いを走ったりできるレジャー施設が揃っています。
テソンリまで来て気付いたことですが、ソウルの漢江にあるナンジキャンプ場のほうがよかったかも!
ナンジキャンプ場は、2002年のワールドカップのとき、ホテルがとれなかった外国人のために作られた施設なのですが、漢江が見渡せる公園の中に、ずらっとテントが並んでいる光景を見たことはありませんか? ワールドカップ競技場から8776番バスに乗ってすぐのところにあります。
入場料はひとり3750W。テントのレンタルは4人用サイズで2万Wほどなので、ふたりで2万8000Wほどあれば、漢江を眺めながら1泊2日のキャンプができます(テントを持ってきた場合は入場料だけ)。バーベキュー道具も貸してくれますし、食料品や炭火などを売っているスーパーもあります。手ぶらで行ってもキャンプを楽しめるすごいところなんです。
食べることが大好きな韓国人らしく(特に私)、キャンプ場に着いたら真っ先にバーベキュー用の炭火を焚きます。時間なんて関係なし! 早朝だろうが深夜だろうが、キャンプといったらバーベキューです! ちょうどよい火加減になるまでのあいだ、さっさとテントを設置して、テーブルと椅子をセットします。この頃のテントは便利ですね! バッグから取り出すだけで自動的に広がり、家が完成!
バーベキューの基本は、やっぱりサムギョプサルと厚めにスライスされたモクサル(豚の首肉)でしょう! 炭火で脂を落としながら焼いたせいか、どのレストランで食べるお肉よりおいしい!
臭いがするので家ではあまり焼かない魚も、炭火で焼いてみます。私が好きなのはサバ。韓国でもっともポピュラーな焼き魚です。頭から尻尾までまるごと1尾を半分に割いて、塩をふって焼きます。これもしっとりしていておいしい! さらに、プリッとしたソーセージにコチュジャンで味付けした豚カルビが続きます。照り焼きソースのトゥンカルビ(豚の背のほうにあるカルビ)まで焼いて、「食った食った~」とデザートへ。
お肉にはビールもいいですが、韓国のキャンプではワインを飲む人のほうが多いですね。グラスではなく、登山用のステンレスカップで飲むワインもまた格別です。
ほかのテントはどれどれ、何を焼いているのかと覗いたら、やっぱりみなさんもサムギョプサル! 大人も子供も、脂がジュージューと音を立てるサムギョプサルが大好きです。大きな鍋でサムゲタンを作っている大胆な大家族や、じっくり味を染み込ませた骨付きカルビをきれいに焼いている女性グループ、インスタントラーメンだけのカップルなど、さまざまです。
秋のキャンプはひんやりとした森の中で、エスプレッソを飲みながら読書でも……と思っていたのですが、食後はやっぱり昼寝でしょう! テントの中にもぐりこんで、木と木が擦れ合う音、鳥のさえずり、川の流れる音をBGMにたっぷり寝ます。
夜は虫の鳴き声を聴きながら、ワインを片手に焚き火です。ホイルで包んださつまいもやじゃがいもを焚き火の中に入れて焼いて、また食べて~。
翌朝は早起きして山に登りました。落ち葉を踏む自分の足音しか聞こえません。ひんやりした森の香りが気持ちいい! 帰りにはおいしいと評判のソルロンタン食堂で熱々の牛骨スープにキムチで冷えた体を温めました。日本のキャンプ場は、温泉に入れるところもたくさんあると聞きました。日本でもオートキャンプしてみたいです!
by: 趙章恩
2009年10月19日
「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!