韓国で補助金規制の隙間を狙う日中のスマホ、ソニーXperiaがMVNO向けに初登場 [2014年12月15日]

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ソニーの「Xperia Z3 Compact」が、韓国のMVNO(仮想移動体通信事業者)向け端末として登場した。韓国のMVNOがXperiaを販売するのはこれが初めて。韓国の最大手MVNOであるCJハローモバイルは、2014年12月9日よりXperia Z3 Compactを補助金付きで販売している。CJハローモバイルは、韓国の財閥であるCJグループの総合有線放送事業者、CJハロービジョンが運営するMVNOである。

ソニーコリアのWebサイト
Xperia Z3 Compactが韓国MVNO向けに初登場。端末流通法の隙間を狙うプレミアムスマートフォンとして注目されている。

 端末流通法により韓国では、キャリア3社の補助金が規制され、端末価格が実質値上がりしている。こうした状況の中、端末流通法の対象でないMVNOは補助金を増やしてユーザー獲得に乗り出した。

 CJハロービジョンは月々約7000円の料金制度で24カ月間の契約をすると、補助金で端末価格から約3万3000円を割り引き、Xperia Z3 Compactを約2万7000円で購入できるようにした。Xperia Z3 Compactをキャリアの1社であるKTで購入・加入すると、補助金が少ないのでユーザーが負担する端末価格はMVNOよりも高い。

 キャリア3社から加入者を奪うMVNO目玉端末としてXperia Z3 Compactが選ばれた、というわけだ。もっと安い料金制度を選択すると補助金が減るので端末価格が高くなるが、それでもサムスン電子やLGエレクトロニクスのスマートフォンに比べると3分の2程度の価格で手に入る。

 Xperia Z3 CompactはLTE端末である。しかしMVNOは、料金が安い代わりに音声通話とインスタントメッセンジャーアプリしか使わない子供とシニア層が多く加入している。2014年10月時点でMVNO加入件数は430万件を突破し、全携帯電話加入件数の8%を占めているが、このうちLTE加入件数は31万件程度にすぎない。LTEで高速モバイル通信を使いたい人は、通常のキャリアを選択する。

 そのためCJハローモバイルは、Xperia Z3 Compactを先着100台だけ売ることにした。100台の売れ行きを見て台数を追加するという。MVNOもLTEでプレミアムスマートフォンのラインアップを増やすのか、それとも今まで通り激安端末と中古端末中心に低価格で勝負するのか、外国メーカーの端末を増やすのか、サムスン電子・LGエレクトロニクスだけにするのか、こうした戦略はXperia Z3 Compactの売れ行き次第というわけだ。

 ソニーは韓国ではキャリアと組まず、XperiaをSIMフリー端末としてソニーストアで販売していた。韓国でXperiaは防埃防水効果とカメラ機能が優れたプレミアムスマートフォンという位置付けである(関連記事:韓国メーカーより安いのにカメラがすごい! ソニーの「Xperia Z2」イベント)。

次ページ:端末流通法によってサムスンが握っていた市場に変化が


趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column

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