韓国で話題の「浮気向け」スマホ、連絡先や写真を隠すシークレット機能充実 [2013年12月6日]

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指紋認識の機能に加え、写真や連絡先を他人に見られないよう隠せるようにした、個人情報保護機能というより、いわば「シークレット機能」までも搭載したパンテックのスマートフォン、その名もずばり「シークレットノート」が、「浮気向け」スマホとして韓国で話題になっている。

 iPhoneやGALAXYといったスマホでも、画面のロックを解除するには暗証番号を入力しないといけない。スマホを紛失した際、他人に使われるのを防止する機能はどの製品もついている。しかし恋人や配偶者から、「スマホ見せて」と言われたらどうするか。子供がスマホでゲームをしたいと頼まれたら、どうするべきか。スマホを貸さずにはいられないだろう。となると、見られたくないものまで見られてしまうかもしれない。

 シークレットノートは、ロック解除方法を「一般モード」と「シークレットモード」に分けて設定できる機能がある。一般モードは通常の暗証番号設定方式で、誰に見られても大丈夫なアプリ・写真・動画・連絡先だけ画面に表示する。シークレットモードで画面を見たい場合は指紋認証しなければならないのである。

 隠したいアプリ・写真・動画・連絡先は、本人が指紋認証しないと画面に表示しないので、「隠しファイルがあることを気付かれることがない」「パソコンのように暗証番号を設定したフォルダが丸見えで問い詰められるといったことがない」というのが最大の特徴だ。

 例えば、浮気相手の連絡先やチャット内容を削除しなくても、誰にも気づかれることなくこっそり隠せる。何かを隠していること自体を「隠せる」わけだ。韓国の代理店やスマホのレビューサイトでは「産業スパイか浮気している人にはぴったり」と評判だ。


シークレットノートのテレビCMでは「浮気」の手助けではなく、マッチョな男性が顔にパックをするなど女性っぽい自分の趣味を「隠す」ために使うという内容にしている

あくまで「私生活を徹底して守るスマホ」として宣伝

 指紋認識の機能はスマホの後面にある。スマホを片手で握った時に人差し指が付くところに指紋認識ボタンがあるので、そこを指でこするだけで指紋認証できる。片手でスマホを持って片手の指の指紋を認識させるといった手間を省いた。指紋は2種類登録できるので、2人分の指紋を登録するか、本人の指紋を指2本分登録できる。

 パンテックは、浮気を手助けするスマホと直接的に宣伝しているわけではない。あくまでも「私生活を徹底して守るスマホ」として宣伝している。完璧なセキュリティと私生活保護機能を必要とする芸能人や著名人に、シークレットノートのユーザーが多いと強調する。シークレットノートのテレビCMは、マッチョな男性が実は顔にパックをしたり自分撮りが大好きだったりといった女性っぽい自分の趣味を隠すために、シークレットモードを使っているという内容になっている。

 2013年10月に発売開始してから30万台を突破し、目標にしていた50万台販売を無事達成できる見込みだ。パンテックはこの勢いに乗ってシークレット機能をさらにアップグレードしたり画面サイズを5.9インチから5.6インチに小さくした「シークレットアップ」という名称のスマホを12月中に発売する。

 シークレットアップはソニーのVAIOにあったような、横から画面をのぞけないようにする「シークレットブラインド機能」を追加した。LINEでチャットをしたり、ゲームをしたりする際に、隣の人がちらちら見るようで気になるというときには、ぴったりかもしれない。パンテックは、「シークレットアップなら100万台は売れるはず」と自信満々だ。

 パンテックは携帯電話一筋の中堅メーカーで、フィーチャーフォン時代はスライド式端末が大ヒット。斬新で面白い携帯電話を作るメーカーとしてサムスン電子に負けず人気が高かった。スマホ時代になってからは鳴かず飛ばずで、経営状況がかなり悪化しているが、シークレットノートとシークレットアップで2014年には巻き返しを狙っている。韓国のスマホ市場には中国勢もどんどん進出している。市場シェア圧倒的1位のサムスン電子を除くメーカー競争はますます熾烈になっている。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20131206/1114343/

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