今回の三星テックウィンのデジカメ世界1位奪取戦略は、三星電子との協業シナジーが土台となっている。三星グループが作るデジカメであるというブランド力やマーケティング力をうまく活用しながら「デジカメの文化を創り出してリードする企業」となることを目標にしている。三星グループは、支援策のひとつとして三星電子デジタルメディア総括社長を三星テックウィンのカメラ事業部門長に選任するなど異例の人事異動も断行している。三星テックウィンはデジカメ市場の持続的な拡大と高級化志向に対応して2008年上半期に第2世代プレミアム製品であるNV2シリーズとDSLR(デジタル一眼レフカメラ)など合計14機種の製品を発売する。こうした施策により、08年には売上高2兆2000億ウォン・販売台数1750万台、2010年には売上高3兆5000億ウォン・販売台数2800万台を達成してキヤノン、ソニーなどを抜いて世界1位になるという計画を発表した。
三星テックウィンの06年の実績は売上高1兆1640億ウォン・販売台数は840万台、07年は売上高1兆3000億ウォン・販売台数1110台と推定されている。三星テックウィンの関係者は「三星電子の既存製品などとデジカメの連携を強化し、三星電子製品とのシナジー効果を追求する」としながら「08年のデジタルカメラ事業の売上目標は2兆2000億ウォン、多少攻撃的に捉えている」と語っている。
また、三星電子とより緊密な関係を築くことでグローバル市場での地位も高めたいとしている。07年8月から三星電子と提携し、三星電子が持つ約150か所にのぼるグローバル営業拠点を活用して流通を強化する。デジタルカメラには三星電子のデジタル製品と同じネットワーク規格を搭載し、AV機器、ホームシアターなどの連携や統合制御機能を強化することで、三星グループ製品間のシナジー効果を一層高めるとしている。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
[BCN This Week 2007年11月26日 vol.1213 掲載]