地下鉄駅構内にミニ代理店出店
リビジョンA方式の普及を促進
【ソウル発】 KTFとSKテレコムがW-CDMA(携帯電話の無線アクセス方式の一つ)で第三世代携帯電話(3G)の普及に拍車をかけている。そんななか、LGテレコムだけがリビジョンA方式を採択、独自方式を模索している。LGテレコムは年末まで全国84市を中心にリビジョンAのネットワーク構築を完了し商用化に乗り出す方針だ。
リビジョンAの速度は上りが1.8M bpsと、HSDPAの384Kbpsより4.6倍速い。2006年下半期から世界的な傾向となっているユーザー制作動画の共有サイトやコミュニティサイトに動画を投稿するのが好きなユーザーにとっては、HSDPAよりもリビジョンAが便利だ。
しかし、リビジョンAの端末が普及しサービスが安定化するには相当な時間が必要とされるだけに、LGテレコムが3Gの正式サービスを開始するのは08年以降とみられる。
LGテレコムはリビジョンAの普及に先立ち、全国の代理店を体験スペースとして活用、運営する。
「Phone&Fun」と名づけられた全国の代理店では携帯電話加入、端末販売、コンテンツサービス体験、バッテリー充電、イベント開催など移動通信と関連したサービスを体験できるようになっている。
「Phone&Fun」は地下鉄の駅構内にも出店し始めた。ソウル地下鉄1-4号線の構内に「Phone&Fun mini」を35店舗オープンした。ユーザーを待つのではなくユーザーのいるところに出向いて新しいサービスを紹介する、というのがLGテレコムの考えだ。
通勤時間や地下鉄を利用しながら「あの新規端末が気になる」「このコンテンツの使い方が分からない」など、思い立った時にすぐ気軽に訪問できるところが好評だ。
今年末まで「Phone&Fun mini」を62店、08年末までに82店をオープンする計画だ。運営時間も地下鉄利用時間帯に合わせ、午前10時から午後9時までとする。
LGテレコムはかつて、おサイフケータイ「Bankon」の宣伝と加入者誘致のため、全国銀行の支店前やATMの入口に代理店を移動させ、出前代理店として大ヒットさせたことがある。
LGテレコム関係者は「地下鉄を中心とする消費空間に入り込む独自な流通網でシェアを伸ばしていけるだろう」と見通しを語っている。“お客に近づく”戦略に軍配があがるか。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
[BCN This Week 2007年6月18日 vol.1191 掲載]