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韓国サムスン電子のスマートフォン「GALAXYシリーズ」のユーザーは日本でも多い。韓国旅行のお土産に「スマートカバー」を買って行く日本からの旅行者をよく見かける。カラフルな本革カバー、鏡のようになる透明パネル付きカバー、高級なスワロフスキーのクリスタルを使ったハンドメイドカバーなど、大人かわいいカバーを日本より安く買えるからだろうか。
韓国では最近、「スマートフォンケース」ではなく「スマートカバー」を使う人が増えている。スマホを守ったり、カラーや柄などおしゃれを楽しんだりするだけではなく、スマホを使いやすくする機能性を強調したのがスマートカバーである。
サムスンが「Sビューカバー」で先陣
スマートカバーの先駆に当たるのが、サムスンの「GALAXY S4」の専用カバー「Sビューカバー」だろう。
韓国人が大好きなおサイフ兼用(クレジットカードを差し込んで日本の「おサイフケータイ」っぽく使う)フリップ式ケースは、便利だが、液晶を覆ってしまうので時計を確認するためにはいちいちフリップをめくる面倒がある。Sビューカバーはフリップに透明窓を付けて、カバーを開けなくても時計を確認したり通話したりできるようにした。
ディスプレイの中でもフリップの透明窓から見える部分だけ電力を消費する仕組みなので、バッテリーがすぐ消耗することもない。バッテリーカバーを外して代わりにカバーを付けるようにすることで、カバー付きの状態でも厚ぼったくならず端末を保護できるようにした。
サムスンは2013年9月25日に世界同時発売した5.7型ディスプレイのスマホ「GALAXY Note 3」(日本ではauなどが発売予定=関連記事)にも専用のSビューカバーがある。GALAXY S4のSビューカバーより透明窓が大きくなり、よりスリムになった。端末を保護透明窓からは時計の確認に加えて、ショートメッセージや発信者番号、天気の確認、カメラとミュージックプレイヤーのコントロール、「Sヘルス」アプリの万歩計機能を利用できる。
透明窓の上からメモまでできる
何よりも便利なのは、カバーを開けずに透明窓の上から「Sペン」で手書きメモができることだ。通話中にメモしたくなった時、通話しながらSペンで書き込めるので助かる。カバーを開けてSペンでメモをすると、手書きの文字をテキストに自動変換して、その文字をアドレス帳、マップ、メール、検索など、どのアプリで使うのかというリンク先を選べる機能もある。
GALAXY Note 3のSビューカバーは遊び心もある。カバーのカラーに合わせて、透明窓から見える液晶のカラーを変える機能が特徴。カバーの透明窓から見える液晶部分を、グリーン、パープル、ブルーなど、カバーのカラーに合わせて見やすいよう自分で設定できるのだ。
LGは「クイックビューケース」で対抗
LG電子は、9月27日に発売した5.2型スマホ「LG Vu3」に専用カバー「クイックビューケース」を用意した。GALAXYのカバーとは全く違う不透明カバーで、これもまたユニークだ。
カバーを開けることなく、ぴかぴか光るキャラクターや動物のアイコンで、通話受信、ショートメッセージ受信、不在電話メッセージ、時間、アラーム、充電状態などを確認できる。スペースインベーダーに登場するキャラクター風のネオンサインのようなアイコンが動いて、着信やメール受信を知らせてくれる。どのデザインのアイコンにするかはユーザーが選択できる。サムスンのSビューカバーを意識しているのか、LG電子はスマホ新機種と同じぐらいクイックビューケースを大々的に宣伝している。
中小企業を圧迫しているという批判も
韓国スマホメーカーのパンテックも、最新の「VEGA LTE-A」を購入すると、専用カバー「スマートフリップ」を無料提供している。フリップケースに透明窓の代わりにぽっかり穴が開いている。そこからスマホの液晶をタッチして、カバーを開けずにショートメッセージの確認、スケジュールのアラームなどさまざまな機能を利用できる。
ユーザーにとってはスマートカバーの登場で、スマホ端末を保護しながらスマホの機能を便利に使えるメリットがある。普通のケースではなくスマートカバーを選ぶ人が増えるだろう。だが、中小企業の市場だったスマホケース製造販売にサムスンやLGといったメーカーが直接参入しているので、「大手が中小企業を潰している」という批判もある。
それでもサムスンやとLGはスマートカバーに力を入れており、競争がこれから本格化しそうだ。スマホメーカーが本体からカバーまでを一通り製造販売する動きはしばらく続きそうだ。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20131004/1107366/