[韓国ソーシャルイノベーション事情] 未来のヘアサロンを先取り! 「魔法の鏡」はOLEDミラーディスプレイ

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<鏡よ鏡、世界で一番きれいなヘアスタイルの女は誰?── そんなことを思わず言ってしまいそうな魔法の鏡を取り入れたヘアサロンがソウルに登場、注目を集めているという>

 ソウル市内の有名ヘアサロンにユニークな鏡が登場した。その名は「ミラーディスプレイ」。鏡のように見えるディスプレイのことで、鏡とデジタルサイネージが一つになったような機能をもつ。雑誌の代わりにもなるディプレイである。

 55インチのミラーディスプレイを7台も設置したのは「イガジャ美容室(LEEKAJA HAIRBIS)」といって韓国では知らない人はいないほど有名な全国チェーンのヘアサロンである。サロンの関係者によると、新しくオープンしたソウル市内の店舗に、プレミアム感を出したくてサムスン電子のミラーディスプレイを導入したという。お客の反応を見ながら他の店舗でも導入する予定だ。ヘアサロンでミラーディスプレイを導入するのは韓国初、イガジャ美容室によると世界でも初めてなのではないか、ということだ。

 お客はミラーディスプレイの前に座り、自分の顔に色々な髪型を合わせて見ながら美容師と相談したり、美容師は最新のトレンドを見せてスタイリングを提案したりできる。ミラーディスプレイはお客と美容師、両方にとって”情報ツールになる鏡」”といえる。

イガジャ美容室では、ミラーディスプレイを使ってヘアサロンのメニューと料金を紹介できるのもいいところだと説明した。韓国の場合、入り口に料金をはっきり公開するヘアサロンは少ない。高級なヘアサロンほどカットいくら、パーマいくら、という料金はなく、どのブランドの薬剤を使うか、どのスタイリストに任せるか、など細かい条件に応じて料金が決まる。そのため、美容師の立場からも、ミラーディスプレイを使ってサービスごとに詳しく解説できるので楽だという。また、新しい技術を紹介したり、海外で流行っているスタイリングを紹介する時も、雑誌より映像を見せれば顧客が一目で分かってくれるので、接客も楽になったという。

 ミラーディスプレイは画像だけでなく映像も表示できるので、髪をカットしながら、髪を染めながら、ディスプレイから好きなジャンルの映像を楽しめる。施術の間、美容師さんと話すのが苦手で、どこに視線を向ければいいかも悩んでしまう──、という人にはありがたい。視力が悪くて眼鏡を外すと文字を読むのが大変な人でも、大画面ディスプレイから流れる映像なら十分暇つぶしになる。ミラーディスプレイから利用できる映像はまだ少ないが、ミラーディスプレイを製造・販売しているサムスン電子は販売を伸ばすため、今後はドラマ、映画、スポーツ中継など幅広いコンテンツをクラウド経由で提供する計画だという。もちろん、テレビにつないでテレビの画面をミラーディスプレイから楽しむこともできる。

 サムスン電子はヘアサロンの他にも、グループのアパレルショップ「ビーンポール」にもミラーディスプレイを設置。スーツやコートを試着したときの後ろ姿までチェックできるよう、横や後ろから見た姿を店内のカメラで撮影してミラーディスプレイに表示する。服を自分の体に当ててミラーディスプレイをのぞくと、その洋服の素材やコーディネート、価格などが表示される。

 ミラーディスプレイは色彩表現力豊かなOLEDのモニターでありながら、反射率75%と実際の鏡と変わらない。以前のミラーディスプレイはLCDで反射率も50%程度だったため、自分の姿がよく映らない、または画像が反射してよく見えないなど、使いづらい面があった。新しいミラーディスプレイはディスプレイとしても鏡としても満足できるレベルである。

 サムスン電子はミラーディスプレイの導入が期待される業種として、ジュエリーショップをあげている。サムスン電子が展示会でミラーディスプレイを紹介する時にもジュエリーショップ風の展示している。自分の顔を写してネックレスなどのジュエリーを付けたときどんな感じになるのか、着用した顔が見られる。サムスン電子によると、小売店だけでなく、病院や一般企業からも、受付やエレベーター前などにインテリアとしてミラーディスプレイを設置したいという問合せが来ているという。


By 趙 章恩

 

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韓国ソーシャルイノベーション事情

 

 2016年9月

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