韓国全世帯の61%が有料IPTVに加入、動画以外のサービス追加でユーザーは伸びる? [2015年7月10日]

 韓国では、ケーブルテレビに加入しないと地上波テレビも受信できない難視聴地域が多い。そのため、ほとんどのマンション管理会社がその地域のケーブルテレビに団体加入していて、一世帯月400円程度の安い料金で、地上波とケーブルテレビ合わせて20~40チャンネルほど視聴できる。

 ここ最近は、ケーブルテレビと変わらない多チャンネルで、より高画質、付加サービスが多いIPTV(インターネット経由で視聴する有料放送)を利用する世帯も増えている。

 IPTVは、2006年サービスを開始した。KT、SKテレコム、LGU+キャリア3社が提供するIPTVは月1000円前後なので、ケーブルテレビよりは利用料が高いが、テレビ用アプリや地上波のドラマ、バラエティー番組の再放送VODを、一定期間後無料で視聴できることから人気を集めている。

 IPTVの加入件数は、2015年6月時点で1130万を突破した。韓国の世帯数は約1800万なので、全世帯の63%以上が有料IPTVを利用していることになる。キャリア3社のIPTV売上も好調で、2013年の1兆1783億ウォン(約1296億円)から、2014年には1兆5323億ウォン(1686億円)に増加した。

 IPTVは、主に月々の利用料と有料VODへの課金で収益を上げている。しかしキャリア3社は、2015年下半期からVODだけでなく動画以外の付加サービスでIPTVの差別化を図っている。KTとSKテレコムは、2015年にIPTVサービスを運営していた子会社を、本社に吸収合併した。

 特にIPTVに力を入れているのが、IPTVシェア1位のKTと3位のLGU+である。


写真●キャリアのLGU+は、IPTVから野球中継全試合を一つの画面で観られる画面5分割機能を提供し人気を集めている(LGU+提供)

 KTは、4Kセットトップボックス経由で、3つの4Kチャンネルを利用できる。4Kで制作した地上波とケーブルテレビの番組、やハリウッド映画、米国ドラマを視聴できる。4Kチャンネルを提供するIPTVは、まだKTしかない。人気歌手のライブ実況を、KTが独占して生中継するチャンネルも人気だ。映画館とKTのIPTVで、同時封切する映画も増えている。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column

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