韓国大統領選挙、候補のIT公約は「インダストリー4.0」「起業」が焦点

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韓国では朴槿恵前大統領の弾劾により、次の大統領を選ぶ選挙が7カ月ほど前倒しの2017年5月9日に行われることになった。

 早速、自分の関心事と大統領候補の公約を比較し、どの候補に投票すれば最も望みを叶えられそうかを調べてくれるマッチングサイトも登場した。その名も「ヌード大統領」。各政党のサイトを見て公約を比較するのは時間もかかるし面倒だけど投票するからにはちゃんと選びたい、という人にはぴったりだ。


公約マッチングサイト「nudepresident」
(出所:FiscalNote Korea)
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 利用者が入力した関心事の統計が表示されるので、韓国人の全般的な関心事も分かる。候補者にメッセージを残せるコーナーもある。4月11日時点で34万7000人以上が利用した。

 大統領選挙は進歩派と呼ばれる野党「共に民主党」のムン・ジェイン候補と、進歩派と保守派の間にある野党「国民の党」のアン・チョルス候補の競争になってきた。ムン候補は大学生の頃から民主化運動をした人物で、人権弁護士として活躍。故ノ・ムヒョン元大統領の秘書室長を歴任した。アン候補は日本にも法人があるセキュリティソリューション企業「アンラボ」を立ち上げた人で、韓国では成功した起業家としてとても有名な人物である。自他公認のIT専門家でもある。

 ムン候補とアン候補のIT分野の公約は共通した面が多い。「インダストリー4.0の時代に合わせて人工知能(AI)、自動運転車、IoTといった新産業を積極的に育成する」「理工系科学技術専門家を育成する」「起業しやすい環境を作るだけでなく、連帯保証人制度を廃止して失敗しても再度チャンスがもらえるようにする」といったことに焦点を当てている。

 ただし、ムン候補は国主導で、アン候補は民間主導で、というところが決定的な差である。ムン候補は大統領傘下に「インダストリー4.0革命委員会」を新設し、科学技術政策を総括する省庁を設け、国主導でIT産業を支援するという立場である。

 一方のアン候補は自ら起業してベンチャーを大企業に育てた経験を踏まえ、IT産業の競争力を上げるには政府の関与は最小限にして民間企業の自律に任せるべきという立場を示している。「インダストリー4.0はITだけでなく、すべての産業が融合することなので、以前のように政府主導ではうまくいかない」とも発言した。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 

日経パソコン

2017.4.

 

-Original column

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/549762/041200140/?itp_leaf_index

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