低料金でユーザーの争奪戦も
日本ではすでに昨年11月から「050」で始まるIP電話の番号サービスが始まっているが、韓国ではやっと今年の12月から「070」で始まる番号を使えるようになる。
エニユーザーネット、三星ネットワークスなど4社がサービスを開始し、「韓国のNTTドコモ」といった存在のSKテレコムも子会社からインスタントメッセンジャーを利用した無料IP電話に乗り出す。韓国・情報通信部は韓国情報通信技術協会(TTA)の品質認証を得た企業に対しては全て070番号使用を許可する方針である。料金は全国どこでも3分39ウォン(3.9円)、国際電話は80%ほど安くなる。
第2電話事業者であるハナロテレコム(ハナロ通信から社名変更)の場合、2002年4月からマンションや団地など地域限定の格安電話サービス「ハナフォン」を始めており、10月現在18万人のユーザーを確保している。実はこのハナロフォンは市内電話番号を持つIP電話で、情報通信部の黙認で成り立っていた。8月から固定電話の番号ポータビリティも始まり、KTの番号のままIP電話に乗り換えられるようになっていたのだ。KTの猛反発のなか、ハナロテレコムは18万人に今さら070の番号を与えるのは時間の無駄と情報通信部を責めているため、認可せざるを得ない雰囲気である。070の後すぐに市内電話番号のIP電話が始まる可能性が高い。
一方、SKテレコムは、ポータルサイトであるNATE運営社のSKコミュニケーションズからメッセンジャーと無料IP電話を結合した「ソフトフォン」サービスを来年1月から開始する。NATEはポータル業界3位、会員1600万人、メッセンジャー加入者は800万人にものぼるため、KTはもちろんIP電話業界からも恐れられている。SKテレコムは現在ポリフィックス社のVoIPソリューションを導入し、年内に試験サービスを提供し、携帯電話レベルの通話品質を提供する。
日本ではNTTも光通信回線によるIP電話を始めるが、韓国でも同じようにKTがテレビ電話機能を持つIP電話を「オールアッププライム」というブランドで開始する予定と発表した。少しずつ減ってはいるが、KTの固定電話売上は全体の35%を超えている。そのため有線の限界を超えモバイルに進出しようと無線LANとVoIPを合わせた電話や、家の中では固定電話、外ではKTFの携帯電話に自動切り替えできる「ワンフォン」も登場させた。
すでにKT、ハナロテレコムやIP電話会社、移動通信のSKテレコムまでも巻き込み熾烈なユーザー奪い合いが始まっている。IP電話の本格普及は固定電話だけの問題ではない。有線と無線の領域を越えてぶつかり合う企業が増えるしかないだろう。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
[BCN This Week 2004年11月22日 vol.1065 掲載] Link