主要先進国の景気回復が遅れるなか、アジア各国の成長は止まりません。中国や韓国、インドなど、まだまだ元気な国が多いのが実情です。知っているようで知らないアジアのコンテンツビジネス事情はどうなっているのでしょうか。第1回は中国のインターネット市場について紹介します。
さらに爆発的な成長が見込まれる中国のインターネット市場
政府の検閲を理由にGoogleが撤退したことで世界の注目を集めた中国のインターネットサービスですが、インターネット利用やネットでの書き込み、ソーシャルネットワークサービス(SNS)などの利用は萎縮することなく増え続けています。検閲なんてずっと前からあったことなので、何を今さら、という感じすらします。
Googleは世界の検索サイトとしてシェアを高めていますが、中国では国民性を反映した自国企業のポータルサイトが人気を集めています。Yahoo!やGoogleといった海外サイトの中国語版のシェアは実は低いのです。
規制の多い中国だけにインターネットの利用も遅れているだろうと思ったら大間違い。インターネットが普及したのは意外と早く、1990年には「com.cn」という中国のドメインが登録され、93年から国家情報化事業が始まりました。96年にはネット接続サービスが始まりネットカフェも登場しています。
China Internet Network Information Centerのデータによると、2009年末中国のネット人口は3億8400万人、なんと前年比50%も増加しています。2010年3月にはついに4億人を突破しました。それでもまだ人口普及率では28%ほどに過ぎないというから恐ろしい勢いです。ネットユーザーの平均年齢は25歳と、世界平均42歳に比べ大変若いのが特徴です。これから爆発的な成長が見込まれているとても魅力的な市場なのです。
10倍に膨らむネット広告市場
2008年より携帯電話の3Gサービスが始まったことから、データ通信の利用者も2億3300万人に至っています。特に青少年の75%は携帯電話からネットにアクセスしていて、パソコン(69.7%)より多くなっています。検索サービスやソーシャルネットワークサイトのほとんどは、携帯電話やスマートフォン向けにも提供されています。
60の大都市市民を対象にした調査では、ネットユーザーの約7割が、暇な時にやることとして「インターネット」と答えています。インターネットにさえつながれば、音楽を聴いたり動画を見たり、ゲームをしたり、いろんな人とチャットをしたり、ショッピングをしたり、何でもできてしまいます。高速ブロードバンドも都市部では日本と変わらないほど普及しているのです。
北京、上海といった大都会だけでなく、小さな農村にもネットカフェが必ずあるほどインターネットは広く利用されています。(中国はネットカフェも人海戦術。パソコンが1000台ほどワンフロアに並べられたネットカフェもありました)。もちろん、所得の差によるデジタルデバイドは深刻ですが、情報源としてネットの役割はとても大きいのです。
インターネット広告市場もここ5年間で10倍に膨れ上がり、2009年には日本円にして約3000億円に達しました。2010年は上海万博の影響でネット広告が増加するものと見られ、2013年には約1兆7000億円規模になるのではないかと予測されています。Googleが撤退したおかげでネット広告がほかの中国勢ポータルサイトに回り、アクセス数1位のポータル「百度(baidu.com)」の2010年1~3月の純利益は昨年同期比2倍以上増加しました。広告単価も値上げされ、市場独占が懸念されるほどです。
第2回は、中国のインターネットではどんなコンテンツが人気なのか、SNSやオンラインゲームなどを紹介します。
By- 趙 章恩(チョウ チャンウン)
@nifty ビジネス
Original Link
http://business.nifty.com/articles/asia/100601/index.htm