韓国政府の著作権法改正案が議論の的になっている。著作権法に違反し、警告を3回受けたサイトは強制閉鎖(つまり廃業)を命じることができるという方向で著作権法改正を検討していると政府が発表したことから、大波乱を巻き起こしているのだ。
法改正の背景には、米国との間でのFTA(自由貿易協定)がある。FTAを締結するための条件として著作権保護が前提になるだけに、コンテンツを利活用することよりも権利者の保護と違反に対する処罰に片寄りすぎているという批判が高まっている。
韓国のコンテンツ産業政策を担当する監督官庁の文化体育観光部が7月17日に発表した改正案によると、違法コピー物をインターネットコミュニティサイトやブログ、ストレージサービス、P2Pサイトに掲載したユーザーが該当ファイルの削除・伝送中断命令を受けても従わなかった場合、ID停止や解約を政府がサイト運営者側に命令できるようになっている。これに従わない業者には1000万ウォンの罰金が課され、3回以上の処分を受けたサイトへのアクセスを遮断する方式でサイトを閉鎖できる。
ここで問題になるのは、ユーザーの過失によって廃業に追い込まれるポータルサイトがでてくる可能性がある点だ。このため、ポータルサイト側では「過剰な措置だ」と猛反発している。24時間モニタリングをしても、2000万人以上の会員の著作権違反をすべて封じ込めることは不可能なのが実際のところだろう。特に動画投稿がブームになってから、ブログを通じたドラマの違法コピー動画が溢れかえっているのだからなおさらだ。
政府は8月になると、業界の意見を受け入れ、ポータルも処罰の対象になるという当初の案を変更して、P2Pやファイル共有サイト、ストレージサービスだけを対象にするといった案も提案している。
これらのサイトは、ユーザーが違法コピー動画を掲載し、それを他のユーザーがダウンロードするためにはサイト側に利用料を払わなくてはならないような仕組みを持っている。政府は、違法コピーされたコンテンツで儲けているようなサイトは廃業に追い込んでいく姿勢をみせている。(趙 章恩●取材/文)