<韓国リポート>インターネット映画が熱い!ストリーミングでDVD画質動画は当たり前 (過去記事)

筆者はちょくちょく仕事の合間の一休み、という時インターネットで映画を見る。ポータルサイトや映画サイトでは1本100円前後で比較的新しい映画をストリーミングサービスしている。

 だがこのインターネット映画、安いだけがとりえの(画面は小さく、バッファリングのせいでいいところで必ず中断され、きれいな女優の変な表情の停止画面のまま待たされる)、ブロードバンドでありながら「忍」ターネット映画だったのが事実だ。韓国のネットユーザーたちも「パソコンで映画を楽しもう」と言うよりは、「手軽に見られるだけでいいじゃないの」に近かった。でもこの夏以降、インターネット映画が素晴らしく変身し始めているのだ。


大手ポータルサイトが相次ぎ高画質VODサービスに乗り出す


 大手ポータルサイトは今、高画質VOD(Video On Demand)サービスに本格的に乗りだした。VODは 「注文型ビデオ」という意味で、映画館に直接行かず、オンラインで見たい映画を選び、ネット経由で好きな時間に見られるもの。テレビ局のホームページでもドラマやバラエティー番組の再放送がいつでも同じように見られる。最近デジタルTVとホームシアターが脚光を浴び始め、ポータルサイトも負けまいと相次いで各種動画を途切れることなく、DVDレベルのきれいな画質で提供しており、ネット映画の利用者数増加とともに月間売り上げも平均 2倍以上増加する等、新しい収益モデルとして立ち上がっている。


「パソコンで映画を見るなんていらいらするだけ」と思っていた映画マニアのユーザーたちも、高画質ならばと、クリックする回数が増えている。掲示板の感想欄には「これぐらいならお金を出してもいい」、「まだ十分満足とまではいかないが、すごくよくなった」と評価している。


 現在高画質 VOD サービスをネットで提供しているサイトは、ヤフーコリア、コリアドットコム、ハナロドリーム等ほとんど全ての大手ポータルサイトだ。有料だが無料体験できる映画もちゃんと用意してある。KT(旧韓国通信)は子会社である KTHとともに10月よりサイバーアパートを対象にホームVODサービスを始める。これはKTとMS(マイクロソフト)の提携によりMSが進めて来た「eHOME」プロジェクトの前身にあたるもので、世界で初めて「Windows Media Player9」が適用されるサービスでもある。ハリウッドのメジャーな映画社とコンテンツ提供のための提携を進めており、今後KTが運営するポータルサイトでも同じコンテンツを流す予定だ。







ハナロドリームの高画質映画配信サイト


 高画質映画館を 5月より運営しているコリアドットコム(http://vod.korea.com/)の場合、映画 53編、アダルト映画(あのアダルトではなく、あくまでも大人用の映画) 34編、アニメーション 26編を取りそろえている。映画1本、24時間何度も見られて70~130円。今までのネット映画(50~100円)より若干高いが、ユーザー達の反応は爆発的だ。まだコンテンツがそんなに多くないというのに、月間 700万~800万円の売り上げを記録している。1300編程の映画を取りそろえた既存のネット映画サイトの月間売り上げが1200万円程度なので、映画1本あたりの売り上げがかなり出る計算になる。


 ヤフーコリアが 8月からお披露目している、その名も分かりやすい「高画質館」(http://yahoo.cineyes.com/)も、利用者数が既存映画サービスの時より 50% 以上増え、月間売り上げも 2倍以上に成長した。 ヤフーはコミック、アクション、ドラマ、アダルトなど 5つのカテゴリーに60編ぐらいの映画を 1本当たり100~200円でサービスしている。


 このような大手ポータルサイトやネット映画専用サイトを相手に、ソリューションやコンテンツを提供する専門企業も増えている。 ウェッブデ一タバンク(http://www.wdb.co.kr/)が最近オープンした「シネイエス」(http://www.cineyes.com)では、3500編以上の映画を保有しており、現在 100編程の映画をDVD画質で上映中している。1本当たり100~150円。ヤフーコリアはここと技術提携し「高画質館」を運営している。


 セホ情報通信は「VODセンター」(http://www.vodcenter.co.kr)という独立したサイトを運営しながら、映画、アニメーション、バラエティー、文化、テレビ番組、ミュージックビデオ等いろんな動画コンテンツをデパートのように用意し、ポータルサイトを対象にコンテンツの貸し出しをしている。現在韓国最大ポータルサイトである「ダウム」、「ネイバー」にコンテンツを提供している。







ダウムの高画質映画配信サイト


高画質動画サービスを支えるDivXとCDN


 このような高画質インターネット動画サービスの登場は、ネットワークと動画圧縮技術の発展のおかげである。DVD画質に準するMPEG4基盤デジタル圧縮技術「DivX」と、大容量動画コンテンツの安定的な送信を保障する「コンテンツ送信ネットワーク(CDN)」がその主人公。「DivX」は容量を大幅に減らしてくれながらも画質損傷は最小化にとどめることで、リアルタイム送信であるストリーミングサービスでも、DVDのような高画質を維持できるようにしてくれる。特に 「CDN」はインターネット網接続サービスを提供する主なISPにキャッシュサーバーを置き、ここにインターネット映画館が保有している動画コンテンツを分散保存し、振り分けて利用者に送ることで、データ送信の渋滞を画期的に改善したものだ。


 既存の動画データ伝送速度は300-500Kbps(秒当たり50万個のデータ送信)なのに比べ、高画質VOD サービスは 20倍も早い1Mbpsに達する。このデータがブロードバンド網を通じて加入者の PCにたどり着き、動画として再現されるのだ。既存の動画は画面の大きさもまともに見るには手のひらの半分が精一杯だったが、高画質動画はモニターにフル画面で表示してもむらなく楽しむことができる。


 高画質VODサービスを利用するためには、ぺンティアムⅢ、128MBメモリー、16MBグラフィックメモリーレベルのパソコンにADSLやCATV回線レベルのブロードバンドも必要。これぐらいの仕様でないと途切れやすいので、高画質の意味がないのが残念。


 韓国ではもちろん映画館もあればレンタルビデオ店もたくさんあり、ビデオの方がネットより3週程先に登場するので、ネット映画がはやっているからと言って客が物凄く減るなんてことはない。映画館でも新作を3編まとめて見られるオールナイト上映が大人気で、大型PCバンと手を結び24時間繁盛している。ポータルサイトたちは激しいVOD競争の中、KHTは映画会社と契約を結び、映画館の後ビデオではなく自社のサイトに先に載せる方策を打診している。KHTは、「インターネットに先に登場することにより広告効果が上がるので、レンタルビデオ店も喜ぶだろう」と言っているが、韓国はとにかく何でも「まずやってみよう!」主義なので、もうすぐそうなる可能性が高い。


 この間 SF映画、スターウォーズシリーズの最新作「クローンの襲撃」が封切り前からインターネットファイル共有サイト経由で広がり、問題になったことがあった。新作のブロックバスター映画のファイルが封切り前にネットで流れるようなことは、インターネットの登場以来、全世界的規模で日常茶飯事的な事件だが、今回の場合は深刻だった。映画館で隠し撮りしたようなチープな画像ではなく、モニターにフル画像にしても全く遜色のないきれいなDVD画質で、ストリーミングでありながら途切れることもなかった。これを見た製作者のジョージルーカスでさえ驚きを隠せなかったという噂もネットで流れた。これからはやっぱり「ネットで映画を楽しむ」べきなのかも知れない。


 このようにインターネットを利用した高画質映画サービスが続々と登場することにより、インターネットで動画を見せる商売であるインターネット教育サイトやテレビ局のドラマ再放送サービスも影響を受けている。ネットスポーツ生中継や、選挙、教育系動画の品質もどんどんアップグレードされるだろう。


 情報通信部も公共機関が利用する超高速情報通信網(ATM網)の品質を大幅に引き上げるという計画を立ており、ブロードバンド普及だけでなくインターネット高画質動画サービスでも韓国が世界をリードして行くだろうと期待される。


by- 趙 章恩


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