<韓国リポート>ブロードバンド一般家庭普及率世界1位、残すは世界市場シェア1位 (過去記事)

この頃韓国IT産業を陣頭指揮を取る情報通信部はワールドカップ以後のITの世界市場進出戦略として「中-長期IT産業海外進出戦略(2002-2006年)」を今年の上半期に打ち出そうと頭を捻っている。情報通信部政策課によると、この計画はこれから5年間、IT分野の輸出を3500億ドルに吊り上げ貿易収支黒字1100億ドルを達成し、IT産業を韓国経済発展のエンジンとして確固たる座を固めるためのものらしい。

 特に▲コード分割多重接続(CDMA)宗主国▲インターネット利用率(2438万人・56%)▲ブロードバンド普及(810万世帯・56.2%)▲政府電子決済率(80.6%)▲オンライン株取引割合(66.6%)▲2904万台のPC補給▲2904万人の携帯電話加入者–等々(以上2001年末基準)のような記録を保有している分、十分達成できる計画と自信を持っている。


 政府が「ITワールドカップ」を世界に見せ付けながら集中的に映し出そうとする分野は、何よりも移動通信とブロードバンドだ。


■先進国と開発途上国にそれぞれの輸出戦略


 韓国のブロードバンド普及率はOECD加入国のうち1位、現在810万世帯であり年末には1000万世帯を越える見込みである。全世帯数が1440万なので、普及率は70%を越える。この数字はアメリカの5倍、ドイツの16倍の水準だ。世界1位の利用者数を対象にした経験を生かし、政府と企業は去年この分野の技術を海外に輸出し3億7000万ドルの売上を達成した。今年は22億ドル、2006年には100億ドルの輸出を目標としている。現在4%である世界市場シェアを14%まで引き上げるのがブロードバンド分野の中長期計画である。


 このために先ず、ブロードバンドの新興成長市場である中国と東南アジア、中東、中米地域市場を優先的に切り開く一方、先進国と開発途上国に分けその国に合わせた輸出戦略で市場開発に乗り出している。


 今までの実績をよく見ると、世界でブロードバンド回線の最多保有通信会社として知られているKTは(韓国通信)去年6月にモンゴルの首都ウランバートルにADSLを開通、続いて9月に日本沖縄県名護市にADSL4700回線を構築、10月には中国延邊のサイバーアパート示範事業に参加した。続いてロシア、アメリカ、タイにも進出した。ハナロ通信も最近、中国広東省第1基幹網事業者と超高速通信事業に関する了解覚書を締結する等中国市場攻略を積極的に始め、ベトナム、マレーシアの現地企業とブロードバンド事業に相互協力することにした。


 政府はこのようなブロードバンド分野の装備以外に付加価値の高いコンテンツ、コンサルティング、ソリューションなど海外進出品目を多様化する戦略も進めている。大手企業が世界市場開拓に先駆け関連装備を輸出し、その後に続いてコンテンツやソリューション企業が進出する形で業界の協力と共助体制を確立、輸出競争力を強めている。インドネシアでもこのような形で装備、ソリューション、ウェップデザイン、コンテンツの順に韓国企業が進出し、ブロードバンド分野で大活躍している。


■「ばら色の未来」ばかり描かない企業


 移動通信に対する政府の意気込みも強い。モトローラやノキアの端末生産国として去年100億ドルを輸出、世界市場シェア9.6%を占めた。今年は150億ドルを輸出し自動車に続いて第2の輸出集中商品として政策的に育てる予定であり、2005年には350億ドル輸出を目標としている。


 だが、そんなばら色の未来でもないと企業は口を揃える。自動車、半導体、造船など韓国の代表産業と同様に情報通信市場でも韓国企業は世界市場で位置を強固に固めた先進国の先頭企業に比べまだ「ブランド」の面で明らかな格差があり、中国を代表とするアジア各国の追撃も受けている。


 過去のようにパーツは外国産で箱だけメイドインコリアの「箱だけ輸出」水準から逃れられないのではないかという不安もある。韓国はブロードバンドと移動通信分野での常用化技術は世界的水準であるが、核心部品は相変わらずクァルコム等の海外企業に依存しており、深刻な問題として指摘されている。また学生達の勉強離れによる「理工学部」忌避現象も起きており、技術確保の核心である技術人材養成にも赤信号がついている。脆弱な基盤技術は収益の限界を意味しており、これは結局韓国IT産業の世界進出を妨げるネックになろうるからだ。韓国IT産業の関係者達はみんな、政府だけが意気込んで企業は疲れる現実を無視した数字だけの戦略にならないことを願っている。






<ワールドカップインターネット生中継中止のお知らせ>

 世界最高水準のブロードバンドインフラを通じて、ワールドカップ競技をインターネットで生中継しようとしていた計画が、ワールドカップ開催を目前にして中継権販売代行社であるキルヒ・メディアの倒産や異見により不発になってしまった。


 去年からインターネット生中継を準備して来たSKテレコムとKTF、KBSの関係者は「本当に残念だが、キルヒ・メディアが今になって巨額な放送権料を求めており、事実上ネット生中継は諦めた状態」、「主要場面などを後で編集しネットやモバイルでサービスする計画」と言っている。(3月13日付の韓国レポートを参照)




by- 趙 章恩


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