<韓国リポート>ブロードバンド先進国の悩み(上)-家庭でも会社でもインターネット中毒が問題 (過去記事)

韓国のIT業界は日本のモバイル市場を大変羨ましがる。韓国では携帯やモバイルのインターネットユーザーがなかなか伸びない。携帯では電話かそれより安いショートメッセージサービス(SMS)だけを使い、メールやインターネットはそこら中にある無料PCで済ましてしまうからだ。明洞から江南あたりまで人が集まるところには必ず、ハナロ通信やKT、移動通信会社やポータルサイトが運営するプロモーションセンターがあり、無料でインターネット検索はもちろん、映画、ゲーム等のコンテンツも楽しめる。空港から市内どこでも置いてある、モニター付きの公衆電話「IP電話」も10円で5分間、タッチパネルのモニターを利用しインターネットが使え、機種によってはプリンター機能もついており、この上なく便利だ。

■「PCがないといらいらする」が66%


 無線LAN付きのモバイルパソコンを持ち歩いたり、携帯等でわざわざ自分のお金を出してネットを使う必要がない。インターネットに関してはとことん太っ腹なのが、韓国だ。もちろん家庭でもPCとインターネット機能だけは惜しまない。


 韓国統計庁が7月末発表した「2002情報化実態」によると、2002年PC保有世帯比率は60.1%、2台以上保有世帯は5.2%だった。PC利用者は63.0%、前年比4.3%増加した。高速インターネット利用率も76.6%と前年比3倍以上跳ね上がった。だが、実際肌で感じる韓国のPC、高速インターネット利用率はこの程度ではない。子供のいるほとんどの家庭が子供用と親用に2台購入するし、もちろんADSL等の高速通信だ。サイバーアパートでなくても、電話1本で翌日には設置完了。迷う理由がない。会社でも、学校でも、家でも、道端でも気が付けば、だらだらとネットにつながりっぱなしの人が自然と多くなった。この手軽さが韓国の全世代をインターネット中毒に追い込んでいるのかも知れない。








 


三星電子が自社の消費者モニターである「PC品質評価団」を対象に調査した結果、1世帯平均2台のPCを保有し、4分の1以上が一日10時間以上PCを使用していると答えた。また57%がPCを長時間使用することで家族ともめたことがあると答え、63%がPCを使い始め体が弱くなった、66%がPCがないといらいらする、9%以上が自らPCやインターネット中毒と答えた。


 10時間以上も何をやっているのかといえば、10~20代の学生はネットワークゲーム、社会人はメッセンジャーでチャットをしたり、ファイルを交換したり、株の取引をしたり、正直に言って勉強や業務とはあまり関係ないことのためにPCやインターネットを使っているのが事実だ。


■ついに出た「メッセンジャー使用禁止令」


 韓国の企業は今まで社内でのプライベート用のメールやインターネット利用に寛大だった。IT企業では、インセンティブ制度やアイデア提案等を重視していたので、それがいつかは業務につながるだろうと見ていたからだ。でも今は「度を越えた」との意見が多い。IT企業の管理職ほとんどが、「社内インターネット利用の80%が業務と関係ないことに使われていると把握しているが、何度注意しても全く聞かないので、何らかの処置を取るしかない」と嘆いている。社員達がメッセンジャーで頻繁に映画等のファイル交換をやっていたせいでサーバーに負荷がかかり、問題になったという話しは、もうどこの会社も経験済みのトラブルだ。












 また面白いことに、オンラインショッピングモールは月曜日が一番忙しいという。インターパーク、ロッテ、三星の大手3社が発表した資料によると、全体の売上げの約四分の一が月曜に発生する。その理由を、週末デパートやディスカウントショップで実物を見て、月曜日自由にインターネットが使える会社で値段を比べネットで注文をするから、と業界は見ている。


 大手企業ではついに、業務と関係のない株取引やメッセンジャー、チャットを長時間利用した場合、その名簿を公開すると警告したり、「メッセンジャー使用禁止令」、「メール抜き打ち検査」、「模擬ハッキングで保安状態を検査」する等の手を使い始めた。インターネット利用者が増え、オンラインショッピングやコンテンツの有料利用者率も増えているが、それを全部会社で、勤務時間中にやっている人も増えているから困る。


 このような症状を起こさないため、子供の時からPCの使い方だけでまく、道具として上手く使う方法を教育させるべきとの意見も多い。そのせいかこの夏休みには、ソウル警察庁や心理相談室、マスコミが一体となり、小学生を対象とした「インターネット中毒予防&ネチケット教室」、中高校生を対象とした「インターネット中毒治療キャンプ」を開催している。


by- 趙 章恩


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