<韓国リポート>携帯さえあれば何もいらない極楽生活――2003年韓国携帯事情(上)近未来の携帯生活が現実に (過去記事)

韓国のテレビにはやたらと携帯電話や端末のCMが多い。デパートでプレゼントを購入したら専用決済機に携帯電話で「ピッ」、バスや地下鉄の運賃も携帯電話で「ピッ」。バスの中では携帯電話がMP3プレーヤーになりその場でソフトをダウンロードしイヤホンで楽しむ。さらには、ドラマの再放送時間に合わせ携帯電話でテレビを見る。学校では書学生証の代わりに携帯で図書館で本を借り、連続撮影や動画撮影機能で写真や映像も撮りまくる――。こんな内容のCMなのだが、韓国ではこれが「これからの世界」ではなくすでに「現実の世界」なのだ。

携帯電話による決済をすでに実現


 2002年、移動通信キャリア各社は赤外線決済、スマートカード内蔵型「モバイルコマース端末」を相次ぎ発表した。市場規模もスマートカード内蔵型携帯電話の販売量が2003年539万台、 2004年1078万台、2005年1260万台と急増し、シェアも39%、77%、90%と増加すると業界では推定している。これは移動通信とスマートカードの業界だけでなく、金融、電子商取引などその他多くの業界の構造変化を予告するものとして注目されている。


 三星電子は先日、赤外線通信方式(IrDA)と無線周波数方式(RF)両方に対応するモバイルコマース機能が付いた端末を出荷した。(CDMA2000 EV-DO M-コマース端末 モデル名 SCH-E150)。2002年11月に出荷したCDMA2000-1x M-コマース端末のアップグレード版だ。ICチップにクレジットカードや個人情報を内蔵し、バッテリーの裏側に挿入するだけで、カード決済、交通運賃の支払い、オンライン決済に使える。


 韓国の場合、プリペイド式でバス、地下鉄でカードリーダーに近づけるだけで使える日本のスイカのような交通カードは数年前に登場している。一般のクレジットカードも同様の機能を持っており、料金は後払いになる。この機能をそのまま携帯電話に移植したに過ぎず、韓国の人たちにとっては特に目新しいことではない。


 オンラインでは小額決済と言うシステムがある。画面に携帯電話番号と住民登録番号を入力すると、携帯に暗証番号が送られてくる。これを画面にもう一度、30秒以内に入力すると携帯料金に合算請求される仕組みだ。月4000円前後まで決済できるので小額なのだが、新端末は、この限度を超えて使えるプリペイド式電子貨幤の仕組みとさらに後払いのクレジットカード機能とを一緒に搭載するところが新しい。


携帯電話さえあれば財布は不要


 基本的にクレジットカードと携帯が一緒になるので、オンラインでもオフラインでも携帯さえ持っていれば財布は必要なくなる。赤外線を使った高速道路料金支払いや名刺交換にも使える。すでにKTFからもモバイルコマース端末は出荷されているが、まだ赤外線だけしか搭載していない。モバイル決済市場はキャリアによって赤外線方式と無線方式が併存するため、どちらでも使える新端末は応用範囲が広い。値段は50万ウォン台(約5万円)。


 携帯電話に搭載されるICチップのメモリーにはクレジットカード以外にも銀行、証券取引などの金融機能、ゲーム、音楽、位置情報サービスといった多様なコンテンツを同時に搭載することができる。特に顧客の個人情報をICチップ入れID(身分証)としても使え、今後医療カード(電子健康カード)としても使えるようにする。


 モバイルコマースの使い方は簡単だ。交通費は専用リーダーに端末を近づけるだけで決済が終了する。お店ではリーダー機に近づけるか赤外線ボタンを「ピッ」と押す。暗証番号を入れるよう画面が変わるので、そこにあらかじめ登録しておいた暗証番号を入力し送信すると終了する。通信費はかからないし、ちゃんと領収書も出てくる。もし携帯をなくした場合、暗証番号があるので勝手に使えない。紛失申告すればカード同様、もし使われたとしても保険処理されるので安心だ。


キャリア各社が競合する決済方式


 SKテレコムは2002年上半期に韓国内主要クレジットカード社と提携し「モネタカード」を、2003年には「モネタプラス」と言うサービスを始めた。「モネタ」は携帯電話にクレジットカードチップを搭載せず、必要な時だけプラスチック型クレジットカードを挿入するスロット方式だ。「モネタプラス」は初めからチップを携帯電話に内蔵してしまう方式だ。このような「ICチップ」方式はクレジットカード社がICチップに個人信用情報を入れて顧客に渡し、これを顧客が携帯電話に搭載して使うことになる。今年中に全国50万の加盟店を確保することで初期市場を先行獲得する戦略だ。


 一方、KTFは「Kマスフォン」というブランドでSKテレコムの「モネタプラス」に対抗する。昨年6月、携帯電話のメモリーに無線通信でクレジットカード情報をダウンロードして使う赤外線方式「Kマスフォン」(モデル名X-2000 Zoop+RF)を実用化し、20万加入者を確保した。続いて11月にはICチップ方式の「Kマス」(X-8500 IrFM+RF)を投入し、モバイルコマースの市場を広げた。


 LGテレコムは去年4月、「ZOOP」と呼ばれる赤外線(KTFと同様のメモリー方式)決済サービスをスタートした。スターバックス、KFC、ファミリーレストランなど携帯電話決済が可能な一般加盟店を3万店以上確保している。










韓国携帯電話加入者数(出典:情報通信部)















































年度 SKテレコム
(011)
新世紀
(017)
KTフリーテル
(016)
韓国通信Mドットコム
(018)
LGテレコム
(019)
総加入者 成長率
2000 10,934,853 3,517,831 5,285,166 3,130,646 3,947,903 26,816,398 14.4%
2001 11,867,289 3,311,774 9,590,698 KTFと合併 4,275,835 29,045,596 8.3%
2002 17,219,562 SKと合併 10,332,770 4,790,161 32,342,493 11.4%
2003.01 17,364,752 10,277,333 4,775,155 32,417,240 0.2%
韓国の人口は約4800万人、()は携帯番号




















韓国移動通信市場シェア
(出典:情報通信部)
SKテレコム 53.3%
KTF 32.6%
LGテレコム 14.7%
2003年1月現在



by- 趙 章恩

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