<韓国リポート>PCバンとPS2、仲良く同居でシナジー効果大(下) (過去記事)

メガウェップステーションはソウル市内で一番ホットな場所である三成洞COEX地下モールにある。約3600㎡、1日平均8000人が訪れる大人気スポットで、映画館、移動通信社の会員専用ネットカフェ、PCバンが一つになった複合施設だ。派手なインテリア、タバコの煙の無いきれいな空気、カップル席、会場貸し出し、ネットワークゲーム対戦生中継のためのスタジオ、新ゲームテストプレイ・ショールーム等、韓国を代表する「ゲーム」の最新基地的な役割をしている。ここのスタジオで繰り広げられる有名ゲーマーの対戦は毎週「オンネットゲーム」というゲーム専用インターネット放送局で中継され、当日は足の踏み場がないほど若者が集まる。







オンラインゲーム生中継に使われるスタジオ


デジタルテーマパーク目指す


 メガウェップはデジタルテーマパークを目指し上海にPCバン支店を持ち、2003年には東京にもオープンする予定。PCバン業界のリーダー「メガウェップ」は今年生き残りをかけて大変身した。PCバンスペースの3分の1はKT広報館(韓国通信)に、また3分の1はPS2ショールームとして貸し出し、PCバンの機能は縮小した。メガウェップの中にオープンしたこのPS2ショールームはこの秋オープンしたばかり、韓国初のゲームショールムだ。








メガウェップステーションの中にあるPS2ショールーム、いつも満員
 韓国には元々「TVゲーム機」というのは存在しない。80年代からゲームはパソコンでするものか、ゲームセンターのアーケードゲームか、そのどっちかだった。パソコンを買う理由もゲーム、インターネット、TV、ラジオと色々な機能が使えるからだ。新婚家庭ではTVやビデオといった家電よりはパソコンとADSLをどこのものにしようかをもっと悩む。思い切ってAV系の家電はパソコンだけにしてしまう家庭も(筆者のように)珍しくない。PCバンはインターネットよりはネットワークゲームのための場所だった。


 韓国で正式販売されたPS2がその人気に比べ売れ行きはあまり芳しくないらしい。すでにゲーム好きな人たちは日本での発売と同時にソウルの龍山(ヨンサン)電気街で個人輸入された物を買ってしまっているからだ。他のゲーム機も同じような状況だ。メガウェップはPS2の楽しさを知ってもらうため、無料で色んなソフトを直接試せてその場で買える「プレイステーション・バン」なるものを考え、ソニーにアプローチしたという。


 韓国のPCバンの文化は日本のインターネットカフェや漫画喫茶とは全然違う。始発待ちや仕事のためではなく、本当にゲームを楽しんだり、友達とのコミュニケーション、外の世界とのコミュニケーションのために行く。PCバンとオンラインゲームが切っても切れない関係なのは日本でもよく知られている。でもゲーマーたちは消耗的にPCバン通いをしているわけではないのだ。ゲームを楽しむだけでなく、ゲーム機能や素材を提案したり、バグやエラーを探し出したり、消費者でありながら生産もするプロシューマー(Prosumer)になっている。


PCバンで人気高まるPS2


 PCバンはゲームプロシューマーのたまり場、自然と集まる場所になり始めた。そこに入り込み始めたのがPS2ということになる。韓国ではだめ、と言われたコンソールゲーム、特にPS2がPCバン化しながらゲーマーとの距離が縮まっている。PCバン化することで、98年PCバンブーム、ADSLブームを起こしたPCゲームのような存在になろうとしている。


 COEX1階太平洋ホールで12月12日~15日、韓国唯一のゲームショー「大韓民国ゲーム大展2002」 (KoreaAmuseWorldGameExpo2002、以下KAMEX)が「ダイナミック・コリア!ワンダフル・ゲーム!」をモットーに開かれた。


 世界3大ゲーム市場、米国のE3、日本の東京ゲームショウ、イギリスのECTSと共に世界4大ゲームショーとの広報にもかかわらず、PS2やXBOXのようなコンソールゲームは参加しなかった。主催側の韓国ゲーム製作協会は「PS2は参加すると言っていたのに、最後の最後で突然ショールームを理由に不参加発表した」と不満そうだった。


 PS2側はKAMEX開催中、先着順にカレンダーを配ったり、抽選で記念品をあげたりと、展示は参加しないものの、その観客を確実に吸い寄せていた。何もしなくても人の多いメガウェップの中がKAMEX帰りのPS2観客でごった返し、KAMEXより込んでいたのは言うまでも無い。


 どんなに個人のIT化が進み家庭で色んなコンテンツが楽しめても、誰かと一緒が好きな韓国人の性格が変わらない限り、まだまだPCバンは健在だろう。オンラインゲームからPS2のようなTVゲーム(コンソールゲーム)へとすぐ流れが変わるとは思えないが、大衆文化開放と共に韓国ゲーム文化の産室PCバンは、2003年日本のゲームにその場を譲ろうとしている。PCバンの再起とPS2の市場拡大を目指すメガウェップには、今日もゲーマーたちでごった返している。

by- 趙 章恩


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