【ソウル発】情報通信部が暫定集計した「11月IT輸出入実績(通関ベース)」によれば、この期間中携帯電話端末は前年同期比50.3%増加し24億5000万ドルを輸出、24億2000万ドル(18.5%増)を記録したこれまで1位品目だった半導体を追い越し、IT関連製品で最大の輸出品目となった。
携帯電話は4億ドル(1996年)規模の輸出から始まり、02年には113億ドル、今年は207億6000万ドル(11月末現在)に急成長している。その背景としては、マルチメディアサービスの多様化と北米・欧州での3G(第3世代)サービスの拡大によるカメラ付き携帯など高性能端末の輸出が好調に推移しているからだ。特に欧州を中心にしたEU加盟国への輸出が大幅に増加している。11月の対欧州携帯電話輸出は前年同期比156%も成長している。
情報通信部の関係者は、「EUに加盟して間もないハンガリー、ポーランド、チェコなど東欧での輸出規模はまだ小さいが、成長可能性の高い地域。欧州市場での携帯電話輸出拡大はこれからもしばらく持続しそうだ」と話す。
対米輸出も順調で、前年同期比25.9%増加、しばらく沈静化していた対中国輸出も3か月ぶりに反転し同26.1%増加している。携帯電話の好調で、IT輸出目標700億ドルはもちろん、750億ドルまでも達成できそうな雰囲気である。ドル安の影響は来年出始めそうだが、携帯電話と半導体、LCD(液晶ディスプレイ)などIT輸出主力品目は価格主導権を確保しているため、大きな揺れはないと期待されている。
輸出の好調で、三星電子、LG電子、ペンタック&キューリテルなど主な携帯電話機メーカーの世界市場シェアは30%近い。10月には三星電子が世界初の500万画素携帯電話を発売、加えて世界初の衛星モバイル放送受信携帯電話も登場した。しかし、それらの基幹部品はまだ輸入に頼っているため、輸出すればするほど日本の利益につながるとの批判も多い。そのため部品の国産化を急いでいる。
一方、携帯電話端末の内需は4年ぶりの最悪な状況を迎えている。上期には番号ポータビリティ制度などで国内では1000万台を突破し、年間出荷台数は約1600万台と昨年より210万台ほど増加する見通し。もっとも、在庫処分のため通信事業者が端末購入を保留しているため、10月から始まった端末出荷台数の減少は11月はさらに厳しい状況だ。
また、10月から通信事業者のクリーンマーケティング宣言により販売支援金がなくなったため、新規加入も機種変更も激減している。代理店側は「客より店員の数が多い日が続いている。全体の70%ほどが赤字状態。本社からの支援金もほとんどなく、毎月20-30店が廃業している」と語る。
モバイルバンキング用チップを内蔵した端末を銀行が安く提供しているが、これも予想では年末年始のほか卒業式、入学式などで需要が若干伸びる可能性はあるが、長引く不況で予測がつかない状況にある。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
[BCN This Week 2004年12月20日 vol.1069 掲載] Link