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ソニーコリアは2014年1月16日、韓国でAndroidスマートフォン「Xperia Z1」(日本では発売中、関連記事)と腕時計型端末「スマートワッチ2」(SmartWatch 2、関連記事)を発売すると発表した。17日から予約受付を開始している。実はソニーのスマホが韓国で販売されるのは、2011年9月の「Xperia Ray」以来のことである。サムスン電子やLG電子といった韓国メーカーのスマホにはない機能やカラーバリエーション話題になっている。
韓国のユーザーがXperia Z1の特長として注目するのは、やはり約2070万画素の高性能カメラである。韓国ではソニーの一眼レフカメラが「コンパクトなのに高性能」「(一眼なのに)自分撮りに向いている」「きれいに撮れる」といったことから高く評価されている。ソニー製のカメラに対する期待値は高く、韓国メーカー製スマホよりも優れていそうだと期待されている。
また韓国メーカーのスマホにはない防じん・防水性能やFMラジオ機能も話題だ。韓国のスマホは防水を強調するモデルはなく、FMラジオ受信機能のあるスマホも最近は見なくなった。ネットラジオ用アプリをインストールすれば無料でラジオを聴けるので、スマホ本体にラジオ受信機能を付けなくなったという事情もある。
キャリアに縛られないハイエンド機という側面
ネットでの反応を見ると、カメラや防水に加えて意外な話題になっているのが、「パープル」の端末があることだ。韓国のスマホにはないきれいなパープル色が魅力になっている。韓国のスマホのカラーバリエーションはホワイト、ブラック、ピンク、ブルーぐらい。別売りのカラフルなフリップカバーを付けることで自分だけのカラーを楽しんでいるが、端末自体の色を選択できれば、本体の防じん・防水性能をそのまま生かせる。
Xperia Z1の端末価格は74万9000ウォン(約7万4000円)と高めである。だが、ソニーショップでスマホを買って好きなキャリアを選択することができる。大手通信事業者(キャリア)よりも通信料金が安いMVNO(仮想移動体通信事業者)の端末として使えるところも魅力がある。韓国ではこれまで、Xperia Z1のようなハイエンドのスマホはキャリアの代理店でしか買えなかったからだ。サムスンの「GALAXYシリーズ」以外の選択肢が増えたことを喜ぶ人も多い。
サムスンは腕時計型端末を対抗値下げ
Xperia Z1と同時に、腕時計型端末のスマートワッチ2も韓国で正式発売されることになった。価格は21万9000ウォン(約2万1000円)。これに対抗してか、サムスンは2014年1月から腕時計型端末の「GALAXY Gear」を値下げした。39万6000ウォン(約3万9000円)から29万6000ウォン(約2万9000円)への大幅値下げである。GALAXY Note 3とGALAXY Gearを一緒に購入するとさらに安くなるキャンペーンも行っている。GALAXY Gearとスマートワッチ2の価格競争に発展する可能性もある。
スマートワッチ2の長所は、さまざまなデバイスと連動できるところだ。サムスン製端末としか連動できないGALAXY Gearとは異なり、スマートワッチ2はAndroid 4.x以降であればソニー以外の端末とも連動させて使うことができる。韓国ではLG電子のスマホとスマートワッチ2を連動させて使っているユーザーが多かったが、今後はソニー製品同士で組み合わせて使えるようになるわけだ。GALAXY Gearはバッテリーが1日ぐらいしか持たないが、スマートワッチ2は低電力設計で3日以上使えるというところも便利だ。
スマートワッチ2のデザインは韓国でも好評で、正式発売前から個人輸入で購入する人も少なくなかった。すでに2013年10月から「ソニーのスマートワッチ2買った!」という自慢レビューがたびたび投稿されていた。
2年ぶりに韓国に戻ってきたソニーのスマホ。GALAXYの本拠地である韓国でもヒットできるか、注目したい。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20140116/1118043/