スンデ定食。基本のおかずとスンデひと皿、スンデククにご飯がつきます。
スンデだけでなく蒸した豚の内臓や頭肉もあります。これがおかずなのです。ボユームありすぎ!
スンデククの登場です。エゴマの粉が入っているので香ばしい! これにご飯を入れるとスンデクッパプになります。
スンデには焼酎! ソウルでは、緑色のビンにはいったチャミスルやチョウムチョロム、Jなどを飲みます。焼酎は地域ごとに違うブランドが売られています。
寒い季節がやってきました。朝晩は風がすごく冷たくて、もう今年も終盤戦か・・・なんてことを思ったりしてしまいます。
こんな寒い日にはやっぱり温かい汁物が食べたくなります。こういう日はやっぱり安くておいしいスンデクッパプでしょう! ニッコリア読者のみなさんは何が食べたくなりますか? おでん? 煮込みうどん? きりたんぽを入れた鶏の水炊き?
私は去年、東京で「ケータイ博士」としてよくテレビにも登場される有名な教授のご自宅にお招きをいただきまして、「きりたんぽ」と「水炊き」というものを初めて食べました(ちなみに教授の奥様は秋田美人。韓国ではりんごの里である慶尚北道の大邱に美人が多いと評判です)。
あ~なんだかヌルンジ(おこげ)になる寸前のお餅みたいで、懐かしい味がしました。鶏をこうして澄んだ「だし」で食べてもおいしいのですね。こってりしたサムゲタンやチゲ、チョンゴルに慣れている私にはとても新鮮でした。これまで日本の家庭の料理を食べられる機会がなかったからです。素材本来の味がして、だんだんと体がぽかぽかしてきて感動しました。
スンデクッパプはこれとは全然違います。豚の腸詰であるスンデ、豚の耳、豚肉や内臓からエキスが出てスープが白濁するまで最低16時間は煮込みます。このスンデと肉いっぱいのスープに、山椒やすりつぶしたエゴマ、唐辛子の粉、にんにく、辛い青唐辛子、カットゥギの赤い汁を混ぜ、ご飯を入れて食べます。きゃ~これはたまりません!
私がよく注文するのはスンデ定食。スンデクク(スンデと肉入りスープ)にスンデ1人前、ご飯、おかずのセットです。スンデクッパプはスープとご飯だけですが、定食にするとスンデが別にひと皿ついてきます。このスンデがまた、ぷりぷりのソーセージのようでおいしいんですよ~。
韓国の女性なら、誰もが一度は経験する(?)スンデにまつわるエピソードがあります。それまではあまり好きではなかったのに、妊娠したら突然真夜中にスンデを食べたくなってしまい、夫を市場に走らせ営業が終わった食堂の人を呼び出して、泣いてすがるようなことまでさせてスンデを調達した経験を持っている人が多いそうな! これぞ魔性のスンデ! 海外に住んでいる人は、「韓国に帰ると真っ先にスンデが食べたい!」というほど、スンデは韓国独自の味なのです。
この頃は新大久保コリアンタウンでも食べられるようですが、同じスンデでも、やっぱり韓国のあの雰囲気の中で食べてこそ、スンデなのかもしれません。
スンデクッパプは、手間がかかる料理のため、何でもアリの食堂より、メニューにスンデしかないところのほうが断然おいしいですよ。スンデクッパプしかメニューにないような専門店で食べましょう。豚特有の臭みがあるスンデクッパプは、下ごしらえが不十分か、それほど料理が得意ではない人が作った可能性もありますよ。
ソウルで有名なお店は、三成駅にある「パクソバンスンデクッパプ」。仁寺洞から鐘路方面に出ると楽器屋さんとお餅専門店が並ぶ通りがありますが、その奥にはいまだに3000Wでスンデクッパプが食べられる食堂が並んでいます。スンデを野菜と一緒に炒めたスンデボックムも甘辛くておいしいので、チャレンジしてみましょう! スンデボックムといえば、新林駅前にあるスンデタウンが超有名です。大きなビルの中は、スンデボックム専門店がぎっしり入っています。
スンデクッパプのほかに最近私がハマってしまったのは、ドガニタン!(ニッコリアのコマさんも大好きなんだそうな!)
牛の足の部分にある軟骨と肉を煮込んだ、これまた真っ白なコラーゲンのかたまりのスープです。ひと口食べると、無言になります。タップリ入っているコラーゲンで、唇がピタッとくっついてしまうからです。そして無我夢中で食べ続けてしまいます。軟骨と肉はピリ辛で酸っぱいしょうゆダレにつけて食べて、スープはご飯を混ぜて食べます。
ソウルでもっとも有名なドガニタンは西大門駅にある「デソンチプ」。50年以上の歴史を誇る老舗です。韓屋をそのままお店にしているので中は迷路のようですが、それがまた昔の韓国にタイムスリップしたようでおもしろいです。
凍えそうに寒い雪の中を歩いて通うおいしいスンデクッパプとドガニタン。これぞ韓国にしかない味ではないでしょうか。
by: 趙章恩
2009年10月29日
「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!