主要先進国の景気回復が遅れるなか、アジア各国の成長は止まりません。中国や韓国、インドなど、まだまだ元気な国が多いのが実情です。知っているようで知らないアジアのコンテンツビジネス事情はどうなっているのでしょうか。最終回となる第6回は、インドネシアやベトナムなど、普段目に触れることのない東南アジアのコンテンツ事情を紹介します。
携帯電話の加入者の方が、人口よりも多いベトナム
東南アジアの中でもこれから急成長が見込まれているのがインドネシアとベトナム、マレーシアです。インドネシアは世界第4位の人口を持つ国で、ベトナムは人口の6割が30歳未満という若い国です。マレーシアは東南アジアの中では所得水準が高く、政府が積極的にインターネット普及率を高めようとしていて、2010年までに普及率50%と全学校の情報化を目指しています。
東南アジアの共通点は土地が広く熱帯雨林などが多いことから、固定通信ではなくモバイルインターネットでの情報化を目指していることです。都心部ではWi-Fiスポットも多く、高級レストランほどWi-Fi導入に積極的という印象を受けました。
ベトナムでは人口よりも携帯電話加入者の方が1.5倍ほど多く、インドネシアとマレーシアでも固定通信より断然モバイルユーザーの方が多いです。スマートフォンの普及も進んでいて、BlackberryやNokiaを中心に世界各国の携帯電話端末が売られているのも特徴です。
スマートフォンが売れている理由の一つはFacebookです。Webサイトのアクセスランキングを提供するAlexa.comによると、インドネシアで最も利用されているサイトの1位はFacebookで、ベトナムやマレーシアでも上位を占めています。
Facebookのデータによると、インドネシアのユーザーは前年比6倍以上増えていて、中国やインドよりも早いスピードで伸びているとのことです。全体的に東南アジアからの利用率が高く、ソーシャルネットワークサイト(SNS)は欧米からアジアへ移行していることが分かります。Facebookをより便利に手軽に利用するためにスマートフォンに買い替える人が多いというのも納得です。
Twitterの書き込み数、第3位はあの国
Twitterも似たような状況です。フランスの調査会社セミオキャストのデータによると、Twitterの書き込みが多い国の1位がアメリカ、2位が日本、3位がインドネシア、4位がブラジルなのだそうで、全般的に欧米よりアジアからの書き込みの方が多いとのことです。ニュースサイトのほとんどがFacebookやTwitterに記事を転送できるようにしてあるのは日本と変わりません。
イスラム国家であるインドネシアとマレーシアでは、Facebookが「不適切な男女交際を促進する恐れがある」として、宗教指導者が集まり利用ガイドラインについて議論が繰り広げられたほどです。今や東南アジアの若い世代に最も影響を与えているのはFacebookと言えます。
また、韓流ブームの影響から韓国の音楽やドラマの知名度が高く、パソコンを使ったインターネット接続はまだ普及率が10%程度にもかかわらず、韓国のドラマ動画視聴やオンラインゲームユーザーがとても多いことも特徴です。
高い携帯電話の普及率を背景に、東南アジアでは音楽コンテンツの利用が盛んで、着メロや楽曲ダウンロードといったモバイル音楽サービスの利用が非常に人気を集めています。しかし端末間コンテンツを自由に転送できるようにしたため、違法コピーが多いのが問題です。それでもアジアのコンテンツ市場はこれからもっとモバイルブロードバンドが普及し、スマートフォン中心になっていくことは間違いありません。
さて、6回にわたってアジアのコンテンツビジネス事情をご紹介してきました。グローバル時代においては、アジアのコンテンツ事情も目まぐるしく変わります。これからもアジアから目が離せません。
By- 趙 章恩(チョウ チャンウン)
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