<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>3.今回のテーマ■Wibro(下)
課題はエリアの拡大 自治体との連携も視野に
Wibro(モバイルWiMAX)は2006年6月に一部が商用化されたものの、韓国KTの本社近くとソウル市の中心部だけでしか使えず、ソウル全域で使えるようになったのが07年4月のことだ。今年6月になってもまだソウル市内と首都圏の一部地域でしかサービスが提供されていないため、使いたくても使えない状況が続いている。加入者も当然ながら予想を下回る状況。06年6月の世界初の商用化と騒がれた当時は最初の1年で13万人、11年には少なくとも390万人を超えると予想されていたのに、今年6月までのWibro加入者は約20万人にしか達していない。
それでも、一度でもWibroを使ったことのある人には、「思ったより速度も速くバスやタクシーに乗りながらでもインターネットが使えるのでとても便利。家でも外でもWibroでつながればいいのに」と、好評を博している。大量の写真データをその場ですぐ送信したい報道カメラマンの間では、ソウル市内では利用料が安いWibroを使う人が増えている。だが、一般ユーザーを獲得するにはやはり狭すぎるサービスエリアがネックだ。
こうした停滞状況から脱するため、KTは自治体と提携してユビキタス都市を構築すべくWibroを早期に導入できるような手を打っている。韓国第二の都市である釜山市やソウル近郊にある京畿道はWibro Wave2基盤ユビキタス環境を築いてモバイルオフィス、観光情報、災害情報などを提供する。通勤時間帯の利用や会社での利用も増え、地域経済の活性化に寄与することが期待されている。
KTはWibroのために過去3年間に約670億円を投資している。08年にはWave2とサービスエリア拡大のため、さらに約120億円を投資する計画だ。同社によれば、08年末には首都圏全域をカバーし、自宅でも外でもWibroにさえ加入していれば移動しながらもシームレスにブロードバンドが使えるようになるとしている。
リサーチ機関のジュニパーリサーチの調査によると、2013年には世界のWibro加入者が8000万人を超え、関連市場規模も230億ドルを上回ると予測されている。
(趙 章恩●取材/文)
教訓
“世界初”の技術も、インフラが未整備なら普及しない
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