[日本と韓国の交差点] スマートフォンの普及で、韓国人の生活は「TGIF」に変わった

.「Twitterをしない特別な理由があるのか?」

2010年に続いて2011年も、韓国を象徴するキーワードは「スマート」になりそうだ。サムスン経済研究所が実施した、「2011年にヒットしそうな商品」のアンケート調査では、圧倒的な支持で「スマートフォン」が選ばれた。続いて「タブレットPC」、「ソーシャルメディア」もトップ10入りした。この調査には、韓国のネットユーザー1万人以上が参加した。

 子供に「お父さん早く帰って来て!」と言われ、うれしくてお土産まで買って帰ったら、子供が待っていたのはお父さんではなく、お父さんのスマートフォンだった。


 こんな、落ち込むお父さんたちの話をあちこちで聞くようになった。スマートフォンは世代を超えて韓国人を魅了している。


 2009年11月にiPhoneが発売されたのを皮切りに、サムスン電子のGalaxyS、LG電子のOptimusなどが次々と登場した。市場は激しい競争となっている。


 韓国のスマートフォン加入者は、携帯電話キャリアの予想の3倍を超えるスピードで伸びている。キャリア各社は、2010年の加入者数を200万台前後と予想していた。放送通信委員会によると、スマートフォンユーザーが携帯電話加入者に占める割合は、2010年末には15%となった。これが、2011年の1年間に販売される携帯電話では60%に達する見込みだ。この結果、2011年末には、国民3人に1人はスマートフォンを使うことになる。


 韓国のモバイルインターネット利用率は2007年から年平均19%ずつ伸びていたが、2009年から2010年にかけては2倍近い35%も増えた(放送通信委員会)。


 それもそのはず。日本と違って韓国には携帯電話向けの勝手サイト(非公式サイトのこと。インターネットでは、URLを入力するだけでサイトを見られるのが当たり前だが、韓国ではキャリアが契約している公式サイトしか、携帯電話から閲覧することはできなかった)がなかったので、携帯電話からウェブサイトに自由にアクセスすること自体、韓国人にとっては新世界なのだ。スマートフォンの登場でこうした使い方が可能になった。


 スマートフォンを使えば料金の高い3Gデータ通信ではなく、無料のWifiでネットにアクセスできる点もうれしい。韓国ではパケット使い放題サービスが2010年8月に始まったが、それでも料金が高い。既にWifiスポットが充実しているので、パケット定額制といっても日本ほどのインパクトはなかった。



パソコンからスマートフォンへ
韓国系ポータルから世界標準ソーシャルメディアへ



 韓国人の生活はスマートフォンの影響で大きく変わった。「YahooやGoogleは使いづらい」としてNAVER、DAUM、NATE、Cyworldといった韓国企業が提供するサイトばかり好んでいたユーザーたちが、スマートフォンをきかっけにグローバルサービスであるTwitter、Google、Facebookに目を向け始めた。


 この変化を機に、韓国では、2010年以降の韓国人の生活を「TGIF」と表現するようになった。Twitter+Google+iPhone+Facebookの略で、韓国人のネット利用形態を象徴する言葉として使われている。本来は「Thanks God It’s Friday」の略で、週休2日制を象徴する言葉だが、これをもじったものだ。


 韓国で一番人気の検索ポータルサイトはNAVERで、検索では8割近いシェアを持っている。(韓国Metrixの調査、以下同)その次にDAUM、NATEが続き、Googleはいまだに1%前後シェアしかない。ところが、スマートフォンから利用する検索の場合は、NAVERのシェアが5割程度に落ち込み、その代わりGoogleが2割近くを占める。


 韓国では2000年ごろからソーシャルメディアの利用が活発になった。世界のどこよりも早く同窓会サイトが人気を集め、アバターの着せ替えチャット、簡単に個人ホームページをつくって友達とつながれるMINI HOMPYなどが人気を博した。それが今は、スマートフォンから利用しやすいメディアに人がシフトしている。韓国のソーシャルメディアもケータイやスマートフォンからアクセスできるのだが使い方が不便。ケータイやスマートフォンからは表示できないメニューもあるからだ。


 韓国の代表的なソーシャルメディアであるCyworldのページビューは2010年に33%ほど減少した。いっぽう、Facebookユーザーは3125%増加、Twitterのユーザーは1833%増加している。2010年の1月と12月のTweetの数を比較すると3400%も増加していた。



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By 趙 章恩

2011年2月2日


-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110131/218220/

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