LEDでグリーンIT実現 「技術」から「エコ」の競争へ
韓国政府は、省エネやグリーンITのために国家戦略としてLED(発光ダイオード)産業をサポートすることを発表した。2012年までに家電やIT機器の省エネ20%達成を目標に、関連技術開発のため今後5年間2000億ウォンを投資する。電力消費が少ないLED照明産業を新成長動力として育成するため500億ウォン規模のLED共同ファンドもつくる。12年までにLED産業の世界シェア3位を獲得、15年までにLED照明の割合を30%に拡大するという目標もある。
今回の政府の政策がなくても、原油高による電気代の値上がりから、家電やパソコン業界では低電力CPUチップをはじめノートパソコンやテレビの画面にLEDを使うといったグリーンIT競争が巻き起こっている。LEDは環境に有害な物質を含まず、消費電力も低いのでグリーンITをアピールするにはもってこいというわけだ。韓国も世界の流れと軌を一にして、画質やデザインといった技術競争から「エコ」競争へと変化している。
LG電子は07年12月にLEDバックライトLCD(液晶)ノートパソコンを発売した。CCFL式LCDよりも価格は高くなるが、少ない電力でより明るく鮮明な画質が得られる。CCFL式LCDに比べ電力効率も30-50%ほど向上する。
サムスン電子は52インチLCDテレビに、映像にあわせて自動的に明るさを調整する機能を搭載。06年からは欧州向けに、LEDバックライトLCD40インチテレビを発売している。07年には50インチと70インチのLEDバックライトLCDテレビを発売した。今年2月には24インチと30インチLEDバックライトLCDモニタも発売した。
韓国政府は屋外照明も電力消費の少ないLEDに変えるため、20億ウォンを支援して、首都圏20か所の駅前の蛍光灯やネオンサインを利用した屋外広告をLEDに切り替える。国全体の電力消費量の18%を占めている照明の3割をLEDに変えると、年間1万6021GWhの電力を節約できるという。LEDの需要を掘り起こすため、まず公共機関の照明からLEDに変えて行く予定で、公務員の省エネ意識を高めるための教育も実施された。
いったんやると決まれば、国を挙げて総力戦を繰り広げる韓国だけに、LEDへの切り替えも早期に達成できるようにみえる。24時間営業の店舗が多いので、照明に使われる電力を節約するのは国にとっての重要な課題である。(趙 章恩●取材/文)