2012年、スマートフォン普及の次は高速通信LTEに大注目

 スマートフォンを「よりスマート」に使えるネットワークとして、韓国では今、LTE(long term evolution)が注目されている。LTEは、理論上の最大伝送速度が下り326Mbps、上り86Mbpsと高速通信を可能にする仕様。2009年11月のスマートフォン発売をきっかけにパソコンからモバイルへとネット利用環境が大きく変化しているこの国では、2012年もスマートフォン、SNS、クラウドコンピューティングなどが重要なキーワードになっている。


 LTEであれば、スマートフォンユーザーはいつでもどこでも高速通信できるので、高精細クラスの動画を見たり、SNSを楽しんだり、クラウドを利用したりと幅広いサービスが使いやすくなる。


 2011年9月、SKテレコムがLTEサービスを開始した。その後、LGU+が「SKテレコムのLTEは途切れやすく使い物にならない」という比較広告を2011年11月に始めてから、LTE競争に火がついた。LTEに興味を持つユーザーが増え、LTE加入者も2011年末でSKテレコムとLGU+合わせて120万人を突破した。KTも2012年には2Gサービスを終了してLTEに力を入れるとしているので、通信キャリア3社のLTE競争は今年から本格的に幕開けとなる。


 キャリア3社の中でシェア3位であるLGU+は、2012年6月に予定していた全国LTEカバレッジ達成を3カ月早め、3月には達成するとしている。3月に実現すれば、韓国は世界で初めてLTEの全国カバレッジを達成することになる。LGU+は「2012年、生き残りをかけてLTEに全力を注ぐ」とする。


 SKテレコムも予定を8カ月早めて2012年4月にはLTE全国カバレッジを達成すると宣言した。KTも予定を1年8カ月以上早めて2012年4月までは全国カバレッジを目指し、より安いLTE料金で差をつけてスマートフォンユーザーを囲い込むとしているので、スマートフォンに続いてLTEも韓国が他の国より早く普及するだろう。


 2009年末から2010年の初め、スマートフォンが登場して間もない頃に購入した人の場合は、24カ月の契約期間も終わり、機種変更する時期でもある。スマートフォンに新規加入する人や機種変更する人は、シンプルな端末よりもNFC(近距離無線通信)によるモバイル決済(スマートウォレット)にも対応していてネットワーク速度も速いLTE端末を選ぶと見込まれる。



 米ラスベガスで1月10日~13日に開催した家電展示会「2012 International CES」でも、各メーカーはLTE対応をうたうスリムでバッテリーが長持ちするスマートフォンとタブレットPCを展示した。


 サムスンとLGからはLTE対応スマートフォンとタブレットPCが続々発売されている。2012年上半期はLTEスマートフォンだけでなくLTEタブレットPCの商戦も激化すると予想されている。2012年3月にLTE対応iPad 3が発売するのではという可能性について報道があったことから、サムスンはGalaxy8.9 LTE(8.9型)に続いてGalaxyTab 7.7 LTE(7.7型)を、LGはOptimus Pad LTE(8.9型)を1~3月の間に発売するとしている。2011年11月に発売したLTEスマートフォンの「GalaxyNote」は液晶が5.3型と大きく、タブレットPCとスマートフォンの両方を持ち歩くより便利だとして人気を集めている。







サムスンは2012 International CESでGalaxyTab 7.7 LTEを展示した








1月4週目から発売されるLGのLTE対応タブレットPC「OptimusPad LTE」は、一足先に発売されたGalaxyTab 8.9 LTEと同じ8.9型である。

サムスンもLGも、高速のLTEネットワークを使って、クラウドサービスを利用できて、スマートラーニング、スマートヘルスケア、スマートワーク(在宅勤務)といった本格的なスマートライフを堪能できる端末であると宣伝している。

 韓国のキャリアは、スマートフォンが登場してから爆発的に増加しているトラフィック問題を解決するため、LTEではデータ通信使い放題の定額料金をやめた。LTE料金体系はキャリア3社がほぼ同じものを提供するが、LGU+はデータ通信が少し安く、KTは音声通話無料分が多いといった差がある。LGU+の場合、一番安い料金は月額3万4000ウォン(約2300円)で音声通話160分、SMS200件、データ通信500MBまで使える。一番高い料金は月12万ウォン(約8100円)で、音声通話1500分、SMS1000件、データ通信13GBまで使える。


 データ使い放題がなくなったことで料金的負担はあるものの、2012年のLTE加入者をSKテレコムは500万人、KTとLGU+はそれぞれ400万人と、スマートフォンユーザーの3分の1はLTEを使うと見込んでいる。キャリアの予測通りにいけば、2012年にはスマートフォンユーザーの2.5人に1人はLTEを使うことになる。


趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
  [2012年1月19日]

-Original column

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20120119/1040447/

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *