[日本と韓国の交差点] 韓国総選挙、「つぶやき」が「世論」に

北朝鮮が「ロケット」の発射を予告する中、2012年4月11日、韓国で総選挙が行われた。結果は、与党である保守、セヌリ党が単独で過半数を維持し、勝利した。セヌリ党は小選挙区で127議席、比例代表で25議席、合計152議席を獲得した。民主統合党は小選挙区で106議席、比例代表で21議席、合計127席にとどまった。統合進歩党は同7議席、同6議席で、合計13席を占めた(執筆時点)。

 今回の選挙の特徴は2つあった。一つは、SNSが大活躍したこと。もう1つは、北朝鮮からの脅威が投票に影響を及ぼさず、「北風」が吹かなかったことだ。

投票日の当日までつぶやく候補者、「認証つぶやき」を残す有権者



 今回の総選挙から、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った選挙運動が合法化された。ポータルサイトの掲示板はもちろん、TwitterやFacebookでも、支持する候補や政党の話で盛り上がった。


  “オフラインの選挙運動”は投票日の前日までしかできないが、SNS選挙運動は当日までできた。各候補は11日にも、何回もつぶやき、自分の公約について解説したり、相手の公約に反論をぶつけたりした。フォロワーを増やして、選挙で勝利しようと必死になっていた。


 今回の総選挙では、SNS選挙運動の影響で、情報の流れが今まで以上に速かった。候補者はSNSで話題になろうと、公約や街角演説の内容、今どこで何をしているのか、TwitterとFacebookで頻繁につぶやいた。これらの情報はリアルタイムで一気に広がる。過去に、どの候補がどんな発言をしたのかも、簡単に検索できた。このため、国民の間に「まともな人を国会議員に選ぼう」という意識が広がった。


 SNSで話題になっていることを、新聞やテレビが「世論」として報道した。例えば3月には、SNS上で広まった、民主統合党のキム・ヒチョル候補に関する“ニュース”を新聞各紙が追いかけて報道した。同候補が、競合する統合進歩党のイ・ジョンヒ候補を「従北左派に地域区(本紙注:小選挙区)を任せてはいけない」と批難。同様の文言を書いたプラカードを自身の事務所に貼った。この写真がTwitterなどで広まった。新聞の報道を受けて、民主統合党は謝罪した。


 どの候補がどんなつぶやきを残したのか、ポータルサイト上で、一目で分かった。ポータルサイトのDAUMは選挙特設コーナーを設置し、候補者の顔写真と、その名前がSNSで何度つぶやかれたのかを示すグラフを掲載した。さらに、SNS上で話題になっている候補を取り上げ、その候補に関するつぶやきの数とつぶやきのキーワードを分析した。


 他の有力なポータルサイトも選挙特設ページを設け、各候補の経歴とTwitterのID、最近のつぶやきをまとめて表示した。こうした状況をビジネスチャンスととらえ、SNSを使った選挙活動を代行するSNS選挙コンサルティング会社が雨後の竹の子のように乱立した。



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By 趙 章恩

2021年4月13




-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120412/230904/

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