北朝鮮が「長距離ロケット」を4月13日に発射した。
これに関する日本と韓国の反応は大きく異なった。日本のメディアが大々的に報道し、国民も大きな興味を持ったのに対して、韓国は冷めていた。北朝鮮のロケット問題よりも、韓国議会選挙の結果と今後の展望に関する報道の方が注目を集めた。さらに、ロケット問題に対する日本の対応や、芸能人の結婚・離婚話のニュースの方が興味を引いた。
李明博大統領の演説は発射から3日のち
韓国政府の対応は、北朝鮮が2009年4月に、3回目の長距離ロケットを発射した時とは、ずいぶん違った。
今回、ロケット発射が確認されるとすぐ、李明博大統領は青瓦台(大統領官邸)で緊急外交安保関係閣僚会議を開いた。外交通称部(部は省)は同会議がまとめた北朝鮮長距離ロケット発射に関する政府声明をTwitterに掲載し、国民は安心して日常生活を続けてほしいと訴えた。
しかし、北朝鮮のミサイル発射に関する韓国政府のつぶやきはこれだけ。この日の以降のつぶやきは、韓米FTAや、大学生向けイベント情報ばかりだった。大統領が軍事態勢強化を指示することもなかった。
2009年の時は、ロケット発射後すぐに、李大統領が国家安全保障会議を招集し、軍の警戒態勢を強めるよう指示した。一時的にではあったが、韓国内は緊張感に包まれた。
今回、青瓦台をはじめとする韓国の省庁は、「北朝鮮が挑発しても韓国は大丈夫」「経済的にも影響はない」ことを強調して、国民を安心させようとした。
北朝鮮がロケット発射を予告した時から、企画財政部(部は省)は、韓国のウォン安や株価暴落はないと広報に力を入れた。4月15日には、企画財政部と韓国銀行が経済金融点検状況会議を開いた。会議の後に記者会見を開き、「北朝鮮のロケット発射が韓国経済に与える影響は微々たるもの。金融市場への影響も一時的。ムーディーズによる韓国の国家信用格付けも『A1」ままである」と強調した。ケソン工業団地で行っている南北経済協力事業も継続する意向だ。
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By 趙 章恩
2021年4月18
-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120417/231082/